ホーム » 小説 » 小説/や行 » 行きずりの殺意(森村誠一)

334 名前:本当にあった怖い名無し :2009/07/10(金) 12:27:26
森村誠一の短編。

赤ん坊と若い母親だけが在宅しているところへ少年が押し込み強盗に入った。
母親は少年に思い直すよう必死に説得すると少年は徐々に身の上を語り始めた。
曰く、父の後妻が父のいない隙に色目を使ってきて勉強もままならない。
耐え切れず家出したが有り金が尽き食うに困ってこんなことをした、と。
本来は生真面目で優しい性格であるのを見て取った母親は彼に同情し励まして、
警察は呼ばないからと約束すると紙幣を1枚渡して彼を逃がした。

世の中には他人の俺にこんなに親身になってくれる大人もいる。
少年は希望を胸に歩き出した。
が、手元をよく見ると1枚だと言っていた紙幣が2枚ある。
もらいすぎは良くないと律儀にも返しに戻った少年が見たものは
警察に電話してる最中の母親だった。
少年が去った後、急に恐怖心に襲われ前言を翻して通報してしまったのだった。
まだ気が動転していたのか、こんなにすぐ戻ってはこないと油断していたのか
ドアの鍵は閉めていなかった。

裏切られたことを知った少年は逆上して母子を刺し殺した。

少年は逮捕され、事件は新聞に載った。
けれどそれは「若者が金欲しさから短絡的に強盗殺人」と紋切り型の小さな扱いだった。END

 

人間溶解―自選恐怖小説集 (角川ホラー文庫)
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