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178 名前:本当にあった怖い名無し :2009/07/27(月) 21:53:23
木内一裕の小説「藁の盾」

8歳の少女が誘拐され、無残に暴行された死体となって発見された。
少女の身体から採取されたDNAで犯人は簡単に割れたが
それは8年前にも同じように少女をレイプして殺した罪で服役し
つい最近出所したばかりのA(28歳)のものだった。

警察官たちは必死でAの行方を捜したがようとして知れず
マスコミや世間はAの前歴とともに再び事件を起こさせて逮捕もできない警察を叩いた。

そんな時、いきなり全ての全国紙の一面広告に
「Aを殺して下さい。殺した人には一人10億円を差し上げます。」
という広告が載った。
(殺す事に協力したと認められたら何人でも一人につき10億円支払うというもの)
同時にAに関する情報や、この懸賞金のルールなどを細かく説明したHPまで開設されており、
そのアドレスも載っていた。

警察は当然、このような反社会的内容を載せる事になった経緯を捜査したが、
誰がいつこのような原稿に差し替えたのか分からずじまい。

実は、この広告を出したのは、今回殺された少女の祖父。
彼は日本のトップに君臨する大企業の創立者であり、
一線を退いた現在でも天文学的資産を所有していたが、不治の病に侵され余命がなく
愛情の全てであった孫娘を無残に殺され、しかもその犯人のAは過去にも
同じような事件を犯していたのに、死刑にもならずに出所していた憤りから、
社会的批判を覚悟の上で全ての縁故を総動員して
闇の復讐を請け負うという人物「サライヤ」と接触して行ったもの。


179 名前:178 :2009/07/27(月) 21:54:37
世間がこの広告に大騒ぎをしている時に、当のAが福岡の交番に出頭してきた。
何でも事件後に同じようなDQN知人に匿われていたが、あの記事のせいで殺されかけた事から
警察に保護を求めてきたというので、東京への護送にB・Cという警護課の刑事が担当することになった。
Bは前は総理内閣担当の腕利きの警備官だったが、
最愛の妻を病気で失ってからは厭世感に苛まれて仕事への情熱を失っており、
Cはまだ若く、Bから見れば未熟さが目につく若造だった。

ところが護送を始めて直ぐに、肝心の警察内部の裏切りから
Aと護送班の動きは逐一、GPSでサイトに流され、
懸賞金目当てに警察官の一人がAを襲ったり、
Aを担ぎ込んだ病院では看護師の女が注射で殺そうとする、
それを未然に防げば、連絡にきた機動隊員がいきなり銃を発砲するという
行く先々で警察官、医者はもとより一般人でも、いつ襲ってくるか分からない状態。

そのころには行きがかり上でB・Cの他にも
D・E・Fという所轄の警察官達も護送に加わり、総勢5人のチームになった。
ところで肝心のAは、全く事件の反省もなく人間的には完全に屑。

そういう屑を命がけで守る事にBを始め残りの4人の刑事たちも疑問を感じつつ、
とにかく任務を遂行しようとするが行く先々で、彼らは10億円目当てに襲われ、
その中でEが襲撃の際Aを庇って重傷を負って戦列離脱、襲ってきた連中にも負傷者も半端なく出たり、
関係ない人を人質にとって「Aを出せ!」を逆上する襲撃者の一人を撃ち殺したために、
過剰攻撃としてEも逮捕されたりととうとう護送は3人になり、
その頃には間違いなくこの護送者の中に裏切り者(内通者)がいると決定的になっているので、
もうお互いに疑心暗鬼となっている地獄。


180 名前:178 :2009/07/27(月) 21:55:30
そうこうしているうちに、警察の装甲車に機関銃で襲われた時に
Bが最も疑っていたCが身を呈して阻止して殉職。
(裏切り者はBが信頼していたF)

Fも単に金目当てだけではなく、少女が殺された時に捜査の一員として死体を見ていて
(被害者は両足首を圧し折られて逃げられなくされた上でレイプされながら死ぬまで顔面を殴られ、
 ぐちゃぐちゃになった顔に射精されていた)、そんなAを死刑になるかどうか分からない裁判に
かけるために、高額の公費をかけて警備官をつけてまで護衛しなければならない公務というものへの疑問を
「サライヤ」利用されて仲間になっていた。

とうとう、Aを護送するのはBだけになったが、
その頃には内通者の捏造から警察全体にAの見つけ次第の射殺命令が出ていて、
民間人も敵、警察も敵、という四面楚歌の状態になっていたが
たまたま逃げ込んだ、コンビニで知り合ったタクシーの女性ドライバーの協力で
検問なども上手く突破して、開けっぴろげで楽しい性格の彼女との関わりの中で
彼女への好意らしき気持ちも自覚し始めた時、タクシーのラジオで
「北海道に住んでいたAの母親が自殺した」というニュースが流れ、遺書として
「Aよ、これ以上世間様に迷惑をかけないで下さい。
 お母さんは一足先にあの世でお前を待っていますから、安心して後から来てください。」
という切々としたしたもの。

自分の行為のせいで母親まで死に追いやった(現実にはバッシングのせい)
Aに対して同情じみた気持ちを持ったBと、ハンドルを握りながら涙を流す女性・・・
ところが、Aは運転してる女性に突然飛びかかり首をぐいぐい締め出した、
Bが慌ててハンドルを固定しつつAを女性から引き離してタクシーを停めるが、
既に女性は首は折られて亡くなっていた。


181 名前:178 :2009/07/27(月) 21:56:08
訳が分からず「何故だ?!なぜお前をリンチから守るために協力してくれ、
お前の母親のために泣いてくれた、この女性を殺した?」と問い詰めるも
Aはヘラヘラ笑いながら「どうせ、俺は死刑とおなじなんだから、どうせ死ぬなら、
死刑になるだけの事をしなけりゃ損じゃないか?」と言う。

こんな最低の奴を助ける為に、命を掛けてCは命を落とし、Dは重傷を負い
Eは殺人者として逮捕され、Fを始め多くの一般人が人道を外して
死人や怪我人犯罪者にになり、たまたま行き合わせただけの女性を死なせる羽目になった・・
もういい、自分がこの場で殺してしまおう、と決心してAに銃口を向けるBだったが、
最後の最後で殺しきれないでいた時に再びラジオから
「10億円の賞金が取りやめになった」という放送が。

懸賞金をかけていた大富豪が、思った以上の10億円目当ての狂乱と
A母を結果的に自殺にまで追い込んだ反省から、殺人レースを取り止めたのだ。

もう集団の狂気の狩人に追われることもない安心感と、虚脱感に呆然となっているAとBに、
いきなり男が飛びかかってきてAに刃物を突き刺す、何とか急所を外れていたので、男を取り押さえながら
「もうこいつを殺しても10億円なないぞ!」というBに対して
男は「そんなものは関係ない!こいつを殺させてくれ!俺は最初に殺された少女の父親だ!」と懇願する。

Bは金目当てでなく、娘のために仇打ちにきた男の手を離した。
この男からAを守る値打はないと思ったからだったが、男がとどめをさそうとした瞬間に、
追いついてきた警察の銃弾が男を打ち抜きAはそのまま警察病院に搬送され命を取り留める事となった。


182 名前:178 :2009/07/27(月) 21:57:05
Aが裁判で死刑になるかどうかは分からないが、
とにかくこの男を生かすために、大枚の公費をかけて最高の医療を受けさせている
現実に暗澹とするBの気持ちでEND。

なんつうか、読後感は思いっきり鬱。
ここでは割愛したが、途中でもAの外道っぷりエピ満載で
マジで最初に主人公達が変な職業意識を発揮しないでさっさと護衛に失敗してりゃ、
みんな死なずに済んだのにと思ったよ。
あと全ての元凶となった「サライヤ」という人物は最後まで正体を現さずに、
何の罰も受けていない(大富豪から前金で大金を受領済み)のも鬱原因。


183 名前:本当にあった怖い名無し :2009/07/27(月) 21:59:55
とりあえずシンプルに、A死ね!

190 名前:本当にあった怖い名無し :2009/07/27(月) 23:29:09
>>178
作者は読者を嫌な気持ちにさせようと頑張ったのが、あらすじだけで伝わってくる。
すさまじくすっきりしないなw

 

藁の楯 (講談社文庫)
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