私たちがやったこと(レベッカ・ブラウン)
芸術家カップルがお互いに必要不可欠な存在になる為に、
片方はわざと失明しもう片方もわざと鼓膜を破る。
盲の方は聾の方に唇の動きでまわりの人の会話を伝え、
聾の方は盲の方にさりげなく声をかけてまわりの様子を伝える。
まわりの連中 ...
ワーニカ(チェーホフ)
モスクワの靴屋で丁稚奉公をしている9歳の少年、ワーニカが主人公。
彼は両親のいない孤児で、頼れる親戚は田舎に住むおじいちゃんだけである。
靴屋での扱いは酷いもので、親方にはしじゅう怒鳴られ、
ろくな食事も与えられず、硬いパンや残飯を少 ...
私は誰でしょう(石川さつき)
「わたしは誰でしょう」
私は職場の休憩時間にちょっとふざけてみた。
同僚は戸惑ったように顔を見合わせてから、
何言ってんのよ仕事に戻るわよ、と席に戻った。
「わたしは誰でしょう」
意地になって言い続けていたら上司が ...
笑う椅子(中井英夫)
外国のファッション誌に夢中になっていた明子は、一人息子の声が聞こえない事に気づいた。
また姑の部屋だ、と舌打ちしたい気持ちで離れに行くが、息子はいない。
姑は電気もつけずに月光の庭を見ている。
「お義母さま、忠博はこちらに参っておりませんの?」
「さあね、おおかた庭で ...
わたしを離さないで(カズオ・イシグロ)
近未来。イギリスの全寮制学校。
ここの生徒は全員、臓器移植のため、
それだけにつくられたクローン人間だった(合法化されている)。
しっかり健やかに育てられるこどもたち。もちろん、良質な臓器の器として、だが。
彼ら彼女らも、それを知って ...
われら(エヴゲーニイ・ザミャーチン)
世界大戦で人類社会が崩壊して、荒廃した外界から遮断された都市が舞台
独裁者と監視者によって支配されたこの国では
起床から就寝までほぼ全ての行動が当局によって管理されている
それに反した行動をとる者は犯罪者であり、
性 ...
笑い顔の神(星新一)
ある村の男が畑仕事をしていると、笑い顔をした神様の木像を見つける
男は自身を神だと名乗るそれを家に持ち帰り、
「金持ちにしてくれ」と願い事をした
すると、全ての事が好転し始める
その年の収穫時期、台風がやってきて村の畑をボロボ ...
わらの女(カトリーヌ・アルレー)
ヒルデガルデはハンブルクに暮らす34歳の独身女性。
翻訳仕事でなんとか食っている。
それなりに美しく、まだ若々しさを保っている彼女には恋人も友達も身内もいない。
友人と身内は空襲で全滅した。恋人と言えるかどうか、そういう経験を持ったのは戦時中の一夜だけであ ...
私たちがやったこと(レベッカ・ブラウン)
レベッカ・ブラウンの短編『お馬鹿さんなふたり/私たちがやったこと』
安全のために、私たちはあなたの目をつぶして私の耳の中を焼くことに合意した。
こうすれば私たちはいつも一緒にいるはずだ。
私は画家・あなたはピアニスト
お互いに絶対に必要な相手と ...
我ら地獄を見たり(西村京太郎)
うろ覚えな部分が多いので間違ってたらすまん
主人公はある大きなマンションで妻と暮らしている青年
そのマンション群は山を切り開いて建てられたもので、周囲は豊かな自然に囲まれた静かで住み心地が非常にいい
マンションには同じサラリーマン(以下B)、子供が誕生 ...