ホーム » 小説 » 小説/あ行 » おたすけぶち(宮部みゆき)

683 名前:1/3 :2009/09/28(月) 00:03:37
宮部みゆきの短編集の中の一つ
「おたすけぶち」

主人公A子は10年以上前に事故死した兄へ弔いの花束を
事故現場「おたすけ淵」へと捧げに行く。
そこはやたら事故が多く、一旦事故ればまず助からないと言われてる場所だった。
なんでも「事故った人間は皆『お助け~』と祈ってしまう程危険だから」
その名前がついたらしい。

ちなみに兄は友人と酒を飲んだ挙句スピード違反の車に同乗していたので
その辺の同情心は特別なかったのだが、事故後「運転していたのはお前の兄貴だろ」
と同乗者の遺族からイチャモンをつけられ怒った両親が裁判で徹底的に争っていた。
(実際には調べてすぐ、死体の状態等から判断するとそのイチャモンつけてきた人の
息子が運転手だった可能性がかなり高いと警察からも言われてたのだが、主人公兄だけ
死体が発見されなかった事もあって目を付けられたらしく、話がモメまくった)
そして10年裁判が続き、そこまで長引いたならもう後には引けないと家族全員で
必死になり、精神的にもボロボロになってて、勝訴はしたのだが親は心労からか倒れてしまった。

兄が死んだ淵の近くの街で、会社休んで来たから同僚へお土産も買わないとな~と
良い感じのハンカチを買ったら「この近くの小さな村で染めた物なんですよそれ」と言われ
へえそうか、と思って見てたらサインみたいにアルファベットが小さく入ってるのに気付く。
それが兄貴の名前だった。


684 名前:2/3 :2009/09/28(月) 00:05:32
同じ名前なだけかも、と思いつつ場所が場所だけに気になって仕方ない主人公
店の主人から必死にその村の事を聞き出そうとするのだが
「辺鄙な場所にあるから車で行きにくいし、小さな村で住人は排他的
無視どころか酷い目に遭わされるかもしれないよ、この街の人間も殆ど関わってないというか
向こうから嫌われてるんだから」とか散々止められる。

しかし泊まったホテルの従業員に訊くと「友人がその村の住人と知り合いみたいですよ」
と言って、その人が知り合った場所で、それ以降もたまに会うという歯医者を教えてもらう。
「僕は知り合いじゃないからよく解らないけど、凄い美人らしいからすぐ解ると思います」と言われ
張り込んでいたら該当者らしき美女が乗った車が来て、二人降りてくる。
その片方が兄貴だった。
勿論即、話しかけに行く主人公。

何で事故にあったのに10年も何の連絡もしてこないのか、私達家族がどんな思いをしたか
と怒ったのだが、兄貴は事故の後村の住人に助けられ、医者にも連れて行かれず
手間隙かけて独自の方法で治されたはいいが
「帰ったらアンタが運転してたって言われて罪を擦り付けられるよ」
「この村から出ない方がいいよ、ここで暮らしなさいよ」とか洗脳じみた説得をされ
実際、罪を擦り付けられるかはともかく友達4人と全員で酔っ払ってて、そんな中
1人だけ生き残ったのが居た堪れなかったし、帰ったら責められるだろうし・・・と臆病になり
村に残って、例の美女と結婚したのだという。


685 名前:3/3 :2009/09/28(月) 00:07:55
適当な理由で言いくるめて兄貴を隠して軟禁まがいの事して変な村へ取り込んでる住人に腹が立つ
大体「絶対罪を擦り付けられる」なんて言ってるが実際はちゃんと違うと証明できたんだから
その為に10年も戦ってきたんだから、そのせいで両親は苦労して倒れてるんだぞ、と
言いたい事がありすぎる主人公はとにかく兄貴を連れ帰ろうと決意する。
説得すれば兄貴だって帰って来るはず、大体そんな不便な山の中より都会の便利な生活が
恋しくなるに決まってるし!と、説得するつもりで待ち合わせしようと言いだす。
兄貴は昔自分が事故をした「おたすけ淵」のそばの大木で、と指定してきたので
最初に会った土産物屋の主人にその地図を描いてもらい
夜、車でそこへ向かう主人公。
すると前面がいきなり物凄い光に包まれ、主人公の車は事故ってしまう。

気が付くと土産物屋の主人やら例の美女やら、見知らぬ老人やらに囲まれていて
「村の大事な人材となったあの人を連れて行かれると困るんだよ」
「あんたも村へ来るかね?A夫はまだ独身だったよな、あいつの嫁にしちまうか」
「そうして村で結婚して生活すれば、愛する者から無理矢理引き離す事がどれだけ酷いか解るだろう」
「そして都会の暮らしなんてロクでもない、この村の良さに気付くはず」
「妹さんが事故で大怪我したなんて知ったらあの人悲しむわ、だから私がついててあげないと」
とか勝手な事を色々しゃべってる。
あの光は特殊な照明装置で起こしたらしい。

怪我で口をきく事も出来ない状態で「おたすけ淵で起こっていた事故の何割かは
こうやってこの連中が意図的に起こしてたんだろうな、そしてこうやって住人を増やしてたんだろう
おたすけ淵の「おたすけ」とは、この村にとっての助けという意味なんだな」と悟る主人公。

で、終わり。
結局その後主人公がどんな目に遭ったのかは不明。


714 名前:本当にあった怖い名無し :2009/09/28(月) 21:06:38
>>683
乙でした。
兄も妹もいなくなって遺体(実際は死んでないんだけど)も戻ってこないって
両親気の毒過ぎ。

715 名前:本当にあった怖い名無し :2009/09/28(月) 21:27:52
>>683
乙。昔読んだことがあったのを思い出した

>>714なだけでも辛いだろうに
「妹が自分で運転中に事故起こして遺体が見つからない」っていう状況を作られたせいで
兄のほうの事故も、やっぱり運転手は兄だったんだろうと
言われのない中傷が再燃するだろうと思うとさらに後味悪い

 

とり残されて (文春文庫)
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