ツウ・ペア(小松左京)

331 名前:自治スレでローカルルール他を議論中 :2010/10/21(木) 22:30:30
『ツウペア』
ある日、男は自分の手から血が流れていることに気付いた。
奇妙な話だが、痛みはないし傷口もない。調べてもらうとそもそも血液型も違った。
そして拭いとっても数日後にはまた同じ現象が起きる。恐れおののく男。
更に数日後、今度は夜中に金縛りで目が覚めた。
部屋の片隅を見ると、何も無い空中から血が滴っている。
いや、違った。よくみればその上には女の顔がある。
位置的には、その女の胸元あたりから血が垂れているようだ。
女の顔に見覚えは無い。なんの祟りだ、と怯えるも、どうしてよいかわからない。
鬱々とした日々を送る男であったが、ある日、町で鋏を買い求めている最中に悲鳴を耳にする。
目を向けると、女がいた。女が自分を見ている。その顔は、あの部屋に浮かんでいたものと同じだ。
声をかけると弾かれたように逃げ出したため、慌てて追いかける。すぐに追いつきもみ合いに。
そしてその拍子に、手に持ったままだった鋏が女の胸、あの血の流れていた箇所に刺さってしまう。

数日後。男は殺人罪で逮捕されていた。
面会に来た友人(オカルトに詳しい)に、男は「あの女は今は幽霊となっているのだろうが、
殺される前の過去に戻って俺を祟りに来ていたということなのか?」と尋ねる。
友人はその問いに首を振った。そして調べてきた次のような事実を教える。
男には双子の兄がいた。生き別れとなっており最早他人だが。
また、殺された女にも姉がいた。そしてその姉は、男の兄によって殺されていた。
姉には婚約者がおり、横恋慕した兄が殺したのだという。
あの幽霊は女の姉だったのかと理解する男。だがなぜ自分に祟るのかが不可解だった。
友人はそれに答える。男の兄は、女の姉を殺した後自殺した。
結婚直前に殺された女の姉は恨む相手がいない。だからお前を身代わりに祟ったんだ、と。
「だがその結果、自分の妹が死んだんだぞ」と男は反論する。友人は更に答えた。
妹にも婚約者がいた。近々結婚する予定だったらしい。姉はそれが妬ましかったんだろう、と。

以上、どこまでも巻き添えで救いも何もあったもんじゃない話だった。


338 名前:自治スレでローカルルール他を議論中 :2010/10/22(金) 20:15:29
>>331
双子だから祟る相手間違えたのかと思ったらそうじゃないとか…(それはそれでダメだけど)
妹が逃げたのは姉を殺し(て自殺し)た男が現れたと勘違いしたから?
男と妹が本当に巻き添えというかとんだとばっちりなのが後味悪いな

 

夜が明けたら (ハルキ文庫)
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