夏の葬列(山川方夫)

55 名前:本当にあった怖い名無し :2012/11/07(水) 10:36:06.05
他板で話題になっていた「夏の葬列」
既出だったらごめん、あと昔読んだので所々うろ覚えです

戦時中、幼い主人公は疎開していた。
そこで知り合った年上のある女の子は面倒見がよく、いつも主人公によくしてくれていた。
ある日空襲サイレンが鳴って安全な場所へ隠れようとしていた時、主人公は転んでしまった。
女の子が主人公を助けようと引き返すのだが、
そこへ「そこの女の子!白い服は目立つから動くんじゃない!」との声が聞こえる。
女の子はそれでも主人公を助けようとするが、
主人公は(女の子と一緒にいると自分まで敵に狙われてしまう…!)と思い女の子を突き飛ばして逃げた。
その時、女の子の方で爆発音が聞こえた。
それから戦争が終わったか疎開をやめ地元に帰ったかして、
主人公は女の子がどうなったか知らないままその村を後にした。

大人になっても主人公はあの時女の子が死んでしまったのか気になっていて、
ある日意を決してずっと避けていたあの村へ立ち寄ってみる。

すっかり変わった景色を眺めながら歩いていると葬列に遭遇した。
その遺影はあの女の子にどことなく似ていて
(あの女の子は最近死んだ=あの時死んでなかったのでは?)と思い始める主人公。
確かめるために葬列に参加している子供たちに話しかける。
「この人、足が悪かったかい?」
「足は悪くなかったよ」
子供たちの言葉を受けて、じゃあ爆弾自体当たっていなかったのかもとほっとする主人公。
長年の罪悪感から解放された主人公は心が軽くなり、子供たちに質問を続ける。
「そうなんだ。でもまだ若そうなのになんで死んじゃったのかな」
子供たちは無邪気に答える。
「戦争で1人娘を亡くしてからずっと頭がおかしくなっちゃってたんだよ。それで自殺したんだ」

葬列は、女の子の母親のものだった。
写真は若い頃のしか残ってなかっただけ。
主人公が、俺はあの女の子だけじゃなくその母親まで間接的に殺したのか…と絶望的になったところで話は終わり

 

夏の葬列 (集英社文庫)
夏の葬列 (集英社文庫)