ある女の復讐(ジュール・バルベー・ドールヴィイ)
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136:1/3:2012/12/13(木) 12:12:07.40
- バルベー・ドールヴィイー「ある女の復讐」
スペインの名家の誇り高い令嬢が、誇り高い公爵夫人となる。
公爵の従弟と公爵夫人は、互いに激しい恋の虜になる。
公爵夫人はあまりにも自尊心が高いので、人妻でありながら夫以外の男を愛したことを認めようとせず、
夫に、従弟が自分に横恋慕しているらしいから城から追い出すように頼む。
公爵はあまりにも自尊心が高いので従弟を下に見ており、「あいつにそんな事ができるものか」と一笑に付す。警告を無視された公爵夫人と従弟は大っぴらに激しく愛し合う。
ただし、間男するでもなく、寄り添ってワルツを踊るでもなく、口付け一つ交わすでもない。
公爵夫人は自分が気高い貴族でいることを望み、従弟は自分の愛する女が崇高であることを望んだので、
向き合って、あるいは足許に跪いて見つめあうだけで満足だった。公爵は当然、二人の関係に気付く。
ある夜、見つめあう二人の間に闖入した公爵は、黒奴に従弟を絞殺させた。
公爵夫人は泣きも叫びもせず、従弟が死ぬのをじっと見ていた。
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137:2/3:2012/12/13(木) 12:14:20.69
- 黒奴は命令に従い、従弟の死体から心臓を切り出した。
公爵夫人は叫んだ。
「復讐なら彼の心臓を私に食べさせて!」
しかし公爵は、従弟の心臓を飼い犬に与えた。
自分の体を愛する人の墓場にするという考えに憑かれた公爵夫人は犬に飛び掛かったが、
犬の爪でドレスを切り裂かれ従弟の血を浴びただけだった。
公爵夫人は監視の目を掻い潜って金貨と宝石をかき集めてパリに逃げた。
復讐にはマドリッドよりパリが、世界の中心であるパリがふさわしいのだ。…これは、主人公の伊達男が最下層の、最下層にしては奇跡的に美しい娼婦から聞いた身の上話。
公爵は復讐を自分の手で行わず、家来を使った卑怯者。
卑怯者に復讐するには、最下層の娼婦に身を落とし、性病で死ぬしかない…と思い詰めた公爵夫人は、
商売用に借りた部屋のドアに貴族の称号を刷った名刺を貼り、従弟の血を浴びたぼろぼろのドレスを抱き締めて決意を奮い立たせるのだった。伊達男は部屋に入ってすぐ、美しさに見合う一掴みの金貨を与えたが、公爵夫人は事が済んでから返した。
「私は二時間100スーの淫売なのです」
そして、この話を広めてくれるよう嘆願した。
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138 :3/3:2012/12/13(木) 12:15:29.57
- 公爵夫人は施療院で死んだ。計画どおり性病に罹患し、片目はコインのように落ち、
もう片方の目は溶けて流れてしまい…苦しみながらも毅然として死んでいった。
金貨や宝石がまだ残っていたので、豪華な葬儀を行い、残金は施療院に寄付したという。葬儀には乞食や施療院の仲間であるレプラ患者の女が参加した。
柩と墓には以下の銘文が記された。サンシア=フロリンダ=コンセプシオン
旧姓トゥレ=クレマータ
アルコス・デ・シエラ=レオネ公爵夫人にして改悛せる娼婦
***日、サルペトリエール施療院に死す
安らかに憩いあれ!人のいい司祭は主人公に語った。
「公爵夫人は自堕落な人生を悔い改め、称号の後に『改悛せる娼婦』と記すことを依頼されました」
「そしてさらなる謙譲から、『改悛せる』という言葉を削ることを主張されたのです」
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139 :本当にあった怖い名無し:2012/12/13(木) 16:32:13.52
- 後味が悪いと言うより
登場人物の行動がとっぴ過ぎて馬鹿みたい…。
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140 :本当にあった怖い名無し:2012/12/13(木) 17:56:10.39
- 自尊心が高すぎる夫婦ワラタ