ノアの子孫(リチャード・マシスン)

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リチャード・マシスン「ノアの子孫」

午前3時、車で旅行中のA氏は海岸部の陰気な町を通り掛かった。
【B…/67】と、町名と人口を示す標識がある。
制限速度の標識を無視してスピードを上げた途端、
パトカーが追い掛けてきて停止を命じた。
内心舌打ちしながら警官に免許証を渡し、尋問に答える。
(標識が見えなかったのかね、出張なのかね、ああ旅行か云々)
早いとこ罰金を請求しやがれ、と思うが、警官は警察署まで同行を求めた。

勿体振りやがってそんなに都会人が憎いのか、と思いながらA氏は署長と向かい合う。
壁には船乗りを描いた油彩画がある。
町を拓いたノア・B…氏の肖像画だ。


3212/3:2013/11/27(水) 21:50:54.33
ノア・B…氏が町に自分の名前を付けたそうだ。
今では住民の姓は全部B…で、他の一族はどこかに行ってしまったとか。

署長は警官と似たような尋問を繰り返し、
A氏がフリーのセールスマンで休暇を取って気ままな旅行中、
独身で家族は結婚した妹が一人だけ、それも遠くに住んでいる事を何度も確認した。
A氏が罰金の額を訊ねると、明日判事の前で払っていただく、と留置所に入れられた。

余所者いじめもいい加減にしろ、と思いながら目を覚ますと、豪華な朝食が運ばれた。
バターで焼いた目玉焼きが3つ、分厚く長いベーコン、
本並みに分厚いトーストが4切れとジャムがたっぷり、絞りたてのオレンジジュース。


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コーヒーをおかわりした所に署長が現れ、
判事は病気で外出できないから、と判事の家にA氏を連れて行った。

高台の古い屋敷で、警官や署長と同じ浅黒い肌の女が出迎えた。
A氏は、ノア・B…氏夫妻の大きな肖像画を見て驚いた。
ここで待てと言われて入った部屋は空っぽ。
悪ふざけもいい加減にしろ、と思いドアを叩くと触れない程熱くなっている。
床も壁もオーブン並みに熱い。

…あの肖像画、ノア・B…氏はともかく隣のB…夫人、
歯をヤスリで尖らせた、色の黒い、まるで人喰い人種のような…
そう言えば、途中で『本日バーベキューパーティー』ってポスターを見たな、
助けてくれ!俺を食うな!

 

13のショック (異色作家短篇集)
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