子どもたち(フェルディナント・フォン・シーラッハ)
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744:本当にあった怖い名無し:2014/02/16(日) 18:35:37.62
- フェルナンド・フォン・シーラハの短編集「罪悪」より「子どもたち」
主人公のホールブレヒトは、
年9万ユーロ(約1260万円)稼ぐちょっとした小金持ちである。
9歳年下の妻ミリアムは小学校の教師をしていて、
もう少し2人きりの時間を過ごしたいので子作りはまだ早いと思っている。
2人は仲睦まじい、お似合いの夫婦だった。
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745:本当にあった怖い名無し:2014/02/16(日) 18:37:57.08
- ある日突然ホールブレヒトは警察に逮捕されてしまう。
訳もわからず引っ立てられるホールブレヒト。
ミリアムは突き付けられた逮捕令状にただただ呆然とするばかり。
罪状は「24件児童虐待」で、しかも被害者の少女はミリアムの教え子だった。
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746 :本当にあった怖い名無し:2014/02/16(日) 18:40:25.19
- 裁判は決して長くはかからなかった。
ホールブレヒトはすべてを否認したが、
被害者の少女とその友達たちが証言台に立った。
家宅捜索の結果ホールブレヒトのパソコンから
ロリ系のポルノ映画が発見されたことも災いして、
法廷内でホールブレヒトを信じる者はいなかった。夫婦仲は急速に冷めていき、ミリアムからは離婚を突きつけられる。
ホールブレヒトに為す術はなかった。
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747 :本当にあった怖い名無し:2014/02/16(日) 18:42:34.17
- 3年半の刑期を全うして観光客向けレストランの
歩く広告塔(店の看板を持って街頭に立つやつ)として働くなか、
ホールブレヒトはある日偶然16、7歳になった被害者の少女に遭遇する。
彼女は恋人と一緒だった。
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748 :本当にあった怖い名無し:2014/02/16(日) 18:45:29.89
- 少女は毎週土曜日にホールブレヒトの前を通り過ぎた。
彼はその日に休みを取って、少女をこっそり尾行するようになった。
映画館で復讐するチャンスに恵まれるも、
恋人と楽しそうに笑う少女にどうしても刃を向けることができない。彼はその足で近くのある弁護士事務所へ行き、
アポなしで一切合財話を聞いてもらう。
弁護士は少女に真実を話してくれるよう頼み込み、
ホールブレヒトは再審で冤罪判決を勝ち取るのだった。
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749 :本当にあった怖い名無し:2014/02/16(日) 18:47:40.06
- 少女と面会した数日後、弁護士は少女の日記を郵送で受け取る。
それは事件から数年後に書かれたもので、
少女が8歳の頃、大好きだった先生(ミリアム)を、
いつも迎えに来る夫(ホールブレヒト)から奪って独り占めしたいがために
事件をでっち上げていたことが分かった。最後はホールブレヒトが再婚して幸せな生活を送っているという描写で終わるが、
幼い少女が友達を動員してまでホールブレヒトの人生を潰したことや、
愛妻のはずのミリアムが夫を庇うことなく離婚を迫ったこと、
事件後のホールブレヒトと少女の相反する生活の描写がより物語を後味悪くしていた。