ただよう小舟(曽野綾子)

248 名前:1/2 投稿日:2007/11/23(金) 13:56:40
曽野綾子の短編「ただよう小舟」

早くに両親と姉を無くし、ぼけた祖母と二人暮しのOLであるA子は同僚B男と結婚した。
B男は戦災孤児で施設や寺で育った苦労人だが、
性格の明るい人気者でA子はB男と結婚できたことを心から幸せに思っていた。
式場で一時期自分につきまとっていた別会社の社員C男の姿を見かけるが、
A子は「B男が守ってくれるはず」と不安を振り払う。

新婚旅行に出かけ、二人は初夜をむかえるはずだったが、
何故かB男は「独身最後のわがままを許してくれ」と1人で飲みに出てしまう。
残されたA子が会社のみんなからもらった寄せ書きのノートを読んでいると、最後のページにC男のサインを見つける。
状況から判断するに、B男はこのノートを読んでから急に出かける気になったようだった。

新婚旅行中も、B男は中・高時代に世話になった寺は訪問せずに、自分のことを覚えている人もいない
最初に入っていた孤児院を急に訪問するなど、A子に不可解な行動をするようになった。
新婚旅行から帰ってきたある日。B男はあることを打ち明ける。
B男とC男の間にはある因縁があり「A子を守るために」それを解決しなければならないということだった。
B男とC男は何回か話し合いをするが、A子には内容を教えてくれない。

そしてある日の夜、B男とC男は池で水死体として発見された。


249 名前:2/2 投稿日:2007/11/23(金) 14:08:33
そしてB男の遺品の中から、A子に宛てた遺書が発見された。

B男とC男は同じ孤児院の出身だった。
当時は保母の数が足りず、年長者だったB男は小さい子の世話を手伝わされていた。
いつもC男のおねしょで迷惑をかけられていたB男は、ある日罰として
C男の男性器を洗濯バサミではさんでしまう。
すぐにはずすだろうと思っていたが、素直なC男はそれを1日以上つけっぱなしにしてしまい、
結局壊死した男性器を切除することになってしまった。
B男とC男の間に禍根を残さないために、B男はすぐ寺に引き取られたのだった。

B男は再会したC男に、自分のしたことを謝りA子につきまとわないよう懇願したが、
すでにまともな神経を失っていたC男はB男のことを覚えていなかった。
ただ「A子は自分の惚れた女だから、A子の裸を見せろ」と執拗に主張するだけのC男に
まともな話し合いはできないと判断したB男は、わざと小舟を転覆させC男を溺れさせたのだった。

B男のしたことは、もちろん許されることじゃないけど、そもそも戦争で孤児にならなかったら
二人がこんな不幸な事故で関わりあうこともなかっただろうし、どうにもやるせない話だと思う。
後、なんで溺死を選んだのかというと、「B男もC男も孤児院の出身で泳げない事を知っていたから」と
遺書に書かれていたが、C男が泳げるようになっていたら、どうするんだ、とオモタ。


259 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/11/24(土) 02:19:17
>>248
>
新婚旅行に出かけ、二人は初夜をむかえるはずだったが、
>何故かB男は「独身最後のわがままを許してくれ」と1人で飲みに出てしまう。

ヤボなツッコミであることは承知だが
もう「独身」じゃないよな・・・


260 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/11/24(土) 05:51:54
入籍前だったんだよ

 

華やかな手 (新潮文庫 そ 1-6)
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