二十日鼠と人間(ジョン・スタインベック)
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56 名前:1/2 :2009/05/15(金) 04:02:51
- 有名過ぎてアレだが
スタインベックの『ハツカネズミと人間』恐慌下のアメリカに、ジョージとレニーという二人組がおりました。
当時多くの人がそうしていたように、適当な農場で働き口を見つけて、
低い賃金をもらって糊口をしのいでいたのですが、なんせレニーは頭が弱い。
「おで、おで、デヘヘ」という具合。
行く先々でトラブルを起こして追い出されては、ジョージもそれに付き合わされるので、
二人は転々とせざるを得なかったのです。でもジョージはレニーを仲間だと思い、
大事にしていました。二人には夢があったのです。
「自分たちの家をもって、レニーの好きなウサギを飼って暮らす」という夢が。レニーは動物が大好きだけれど、馬鹿で馬鹿力なので、そこら辺のネズミを捕まえては
「デヘヘ、カワイイなあ、おで、好きだあ」
と撫でながら死なせてしまうのです。ジョージに叱られる度に
「デヘヘ、ごめんよ、おで馬鹿だから。なあジョージ、あの話してくれよ、あの話、俺たちの家の話だよ」と
自分たちの家の夢をジョージに語らせたがり、ジョージも
「本当に、どうしようもねえ馬鹿だなあ」と悪態をつきながらも
「俺たちゃ他の貧乏人とはちげえ、互いに心配しあえる相棒がいるんだ。
いつか二人で金を貯めて、小さな家と、ちょっとした土地と-」
と語りなれた夢を語り、レニーは
「ああ、それで?それで?豪勢に暮らすんだろ?」とはしゃぎまわります。二人は物語の中で、新たな働き口を見つけます。
そこの農場主の嫁が美人を鼻にかけた悪女でして、馬鹿で純朴で大男のレニーをからかおうと、
色っぽいイタズラを仕掛けてくるんですね。トラブルが起きたら事だ、ってんでジョージはレニーに
「おい、あの女と口を利いたら、俺たちの家にウサギ小屋を建ててやんねーからな」
と釘をさします。
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57 名前:2/2 :2009/05/15(金) 04:04:03
- ある晩、レニーが馬小屋に居ると件の女が入ってきます。
レニーはウサギ小屋が欲しいので相手にしないようにするのですが、しつこく話しかけるので
「おで、馬鹿だから好きな生き物をなでてると止まらねーんだよね・・・・・・」とこぼしてしまいます。
性悪女はそれを聞いて面白がり、レニーに自分の髪をなでさせます。レニーはやはり止まらなくなる。
髪が乱されるのを嫌がり、レニーが離してくれないことを恐れた女は悲鳴を上げます。
「あばば、静かにしてくれ・・・・・・ジョージに聞こえちまう。ウサギの世話ができなくなっちまう」
女は叫ぶのを止めず、うろたえたレニーは勢い余って女を殺してしまいます。レニーは逃げます。
女の死を知った男達は殺気立ち、われ先にと銃を持って飛び出していきます。ジョージはレニーを見つけます。
トラブルを起こして逃げ出した時、落ち合うための場所を事前に教えておいたのです。
「おで、また困ったことしてしまったんだ・・・・・・」
「いいんだよ、そんなことは」
「おでのこと、怒らねえのか?いつもみてえに、「お前さえいなきゃ楽なのによー」って」
「お前は馬鹿のくせに、俺のいったことだけは全部おぼえてんだから、しょうがねえな」
「なあ、話してくれよ。あの話。俺たちの話だよ」
「いいぜ。じゃああの川向こうを眺めてなよ。目に浮かぶように話してやるぜ。」
-俺たちゃ他の貧乏人とはちげえ
「デヘヘ、そうだよ、ちげえんだ!」
-いつか二人で金を貯めて、小さな家と
「デヘヘヘヘ、ちょっとした土地を買うんだよな!」
男たちの足音が近づいてくるのを聞き、ジョージはレニーの後頭部に銃口をあてて、引き金を引く。ジョージとレニーの二人を良く知る男が近づき、声をかける。
「しょうがないさ、やらなきゃいけん時もある。だがジョージ、飲もう。飲まずにおれんだろう」
去っていく二人を見て他の男たちが囁きあう。
「おい、あの二人、いったいなにを気にしているんだろうな?」
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59 名前:本当にあった怖い名無し :2009/05/15(金) 05:32:02
- ラストの、「あの二人は何を気にしてる…」 っていうのはどういう意味として捉えれば良いですか?
周りの皆は「アホなレニーの死なんか別に気にする値無い」と思っているのに「何気にしてるんだ?」って事?
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62 名前:本当にあった怖い名無し :2009/05/15(金) 06:03:53
- 周りの男達はレニーとの仲を知らないからじゃない?
違うか
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64 名前:本当にあった怖い名無し :2009/05/15(金) 07:23:23
- 殺人鬼を逃がさず始末できたのになんで落ち込んでんだ?ってニュアンスじゃないの?
ジョージとレニーの友人関係を知ってるおっさんは一緒に涙酒付き合ってくれてるくど、
それを知らない人からしたら落ち込む意味が分からない。
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75 名前:本当にあった怖い名無し :2009/05/15(金) 13:23:24
- >>59-64
ラストに関しては色々な解釈ができると思います。
「レニーは馬鹿だし人殺しだから」「二人の関係を知らないから」というのも
モチロン理由の一側面だと考えられます。
もう一つの要素としてジョージとレニーの夢語りの冒頭にある
「俺たちは他の貧乏人とはちげえ」の部分も絡んでくるのではないかと。
この時代の労働者達は作中でも手にした少ない賃金を、休日に街にでかけては
酒と女を買ってのドンチャン騒ぎで浪費してしまいます。
大事にしたい相棒がいて、将来の夢がある、というジョージとレニーの関係そのものが
他の男達には理解のできないものだったのではないでしょうか。
スタインベックらしく、人間の非常さを個々の悪意や無関心だけでなく
世情の暗さから導き出しているシーンだと思います。
加えて労働者達の仲間意識の薄さ、雇用者側の人間を殺せば問答無用で殺されるという
階級的な要素もほんのりと有るかも知れません。
同時に事情を良く知れば共感することもできるという救いも含まれているかと。
それも実際に手を貸せる現実は存在しないという制限付ではありますが。なんにせよ解釈次第。あまりに映画向きではないので、
映画版だとジョージが列車に乗り、窓に映る一人ぼっちの自分を見てレニーの世話をしていたつもりが、
実はレニーを必要だと思っていたんだ。と気づくところで終わります。
観てる側はそんなこと冒頭10分で承知済みなので、個人的には原作版のエンドが好きです。
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83 名前:本当にあった怖い名無し :2009/05/15(金) 20:02:18
- >観てる側はそんなこと冒頭10分で承知済みなので、個人的には原作版のエンドが好きです。
吹いたw