黄金色の風(林壮太)
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489 名前:『黄金色の風』1/2 :2010/08/23(月) 12:29:00
- いわゆる南京大虐殺の話。
おばあちゃんや弟と田舎で暮らす心優しい主人公の少年Aは、
徴兵されて中国へと旅立った。Aは戦争に躊躇していたのもあり、
訓練所ではノリノリの部隊の仲間達に比べて遅れを取っていた。
そんな訓練所で、もう一人Aとともに落ちこぼれとなっていたのが、
身体が大きく、優しくてつぶらな瞳のBだった。
上官に怒られたりしながらも、励まし合いながら2人は耐えていく。そのうち訓練はどんどんエスカレートし、生きた中国人捕虜を的として
使うようなものになっていった。
実際の戦場でも惨殺を繰り替えすうち、部隊の仲間ともども
Aも感覚が麻痺し、むしろ殺戮を楽しむマシーンと化していた。日本兵達は村を襲い、男は即殺害、赤ん坊は茹で殺し、
女はレイプ後殺すなどしていた。ある民家を物色中、Aは男の子が壷の中に隠れているのを見つける。
男の子は弟くらいの歳で、震えながら手を合わせて必死に命乞いをしていた。
Aは気まぐれからか男の子を見逃し、その場を立ち去った。
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490 名前:『黄金色の風』2/2 :2010/08/23(月) 12:30:28
- 戦争が進むと、Aの部隊の仲間達は、上官も含め命を落としていった。
Aは変わらず殺戮マシーンのまま戦い続けている。
BはそんなAをずっと心配し、正気に戻ってくれるよう
説得していたが、Aは聞く耳持たなかった。ある日AとBが線路沿いを歩いていると、
突然襲撃にあい、爆弾が投げ付けられてきた。
BはとっさにAに被いかぶさり、かばって死亡。
それを見たAは、愕然とし、Bの優しさに触れて元のきれいな目のAに戻った。Aが一人ふらふら歩いていると、かつて村で見逃した男の子が現れた。
Aは、男の子が生き延びていたことを嬉しく思った。男の子の姿が田舎にいる弟と重なり、懐かしく思いながら
いつも弟に歌ってあげていた童謡を手を打ちながら歌った。
男の子は静かに聞き入っているかに見えた。次の瞬間、男の子がAの肩に立てかけられていた銃を奪い、
Aの脳天を打ち抜いた。
反動で吹っ飛びながらAを睨みつける男の子の目には涙が浮かんでいた。
彼は、Aを慕って付いてきたのではなく、復讐を狙って追ってきていたのだった。場面は変わって日本。
Aの家の畑では、黄金色のひまわりが今年も満開となっていた。
おばあちゃんと弟が「Aは元気で過ごしているかなぁ」と話していると、
ひまわり畑の中を風が吹き抜けていった。おしまい。
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トラウマスレで同シリーズの話が出ていたのを見て思い出しました。
超うろおぼえなので多分結構違ってると思います。