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83 名前:自治スレでローカルルール他を議論中 :2010/10/12(火) 22:51:52
動物関係ないが不意に思い出したので。冴木忍の「メルヴィ&カシム」3巻。

数年前に革命が起こり、貴族が失脚して共和制になった国で、主人公達は
自分達の復権を目論む貴族の残党達から、現体制を転覆させる為協力するよう、脅迫まがいの方法で迫られる。

その貴族達は今だに自分達が選ばれた民であり、一般民など人間とも思ってない
ような連中。当然主人公達も呆れて相手にしないのだが、その貴族の残党のリーダーは男装の麗人。
当然その女も選民思想に凝り固まった上に、同じ仲間ですら必要でないと
判断したら容赦なく殺すその姿勢に、なんて女だ!と憤慨する主人公。
が、主人公の師匠は女性の頼みは断れない性質。結局依頼を引き受ける事となる。

紆余曲折あって、貴族の残党達は壊滅。女リーダーも死んでしまうのだが、
その時の哀しげな瞳に違和感を抱く主人公。そしてその夜、主人公は花畑のなかで微笑みながら、
○○が大好きよ、と言う少女の夢を見る。一体誰なのか。
主人公達は革命の際の指導者の一人であり、現評議会のリーダー格である男と接触、
女が死んだ事を告げると、男は苦渋に満ちた表情で真実を語り出した。


84 名前:自治スレでローカルルール他を議論中 :2010/10/12(火) 22:52:08
男は昔、女が住んでいた屋敷で使用人をしていた。
実は女の両親はとても聡明で、貴族でありながら現体制を批判し、むしろ貴族制をなくす方向で動いていた。
領地も爵位も返上し一族の財産があったからこそ屋敷に住んでいたが、人々に分け隔てなく接する素晴らしい人物だった。
その娘である女も聡明で快活、心優しい美少女として使用人や周りの人々に慕われていた。
男は年が近いこともあり、まるで兄妹のように接していたが、
やがて、それが恋愛感情に変わるまでそう時間はかからなかった。

が、男は使用人であり、相手は主人の娘。娘からも好意を向けられているのは分かっていたが、
男はそれを押し殺した。敬愛する主人の娘だからこそ、手を出す訳にはいかなかったのだ。

そしてしばらくして革命が起こる。男はリーダー格の一人として配下の兵士達に
「あの家は襲撃してはならん」と厳命する。
が、混乱の最中、暴徒と化した民衆は、裕福な家とあらば襲撃し略奪行為を行った。
男の元に、彼女の家が襲われたという情報が入る。急いで駆けつけた男の見た物は、
焼け落ちた家と惨殺された主人とその妻、そして使用人達、そして暴行を受けた娘の姿だった。


85 名前:自治スレでローカルルール他を議論中 :2010/10/12(火) 22:52:29
ただの暴行ではない。複数人に犯された挙げ句、首から下の体に焼けた松明を押しつけられたのだ。
女が男装をしていたのは、その跡を隠す為だった。男は娘を保護するが、革命直後の混乱の最中、
行方が分からなくなってしまう。そして―
あまりの惨さに、絶句する主人公。主人公の師匠が言うには、女の死に際の最期の思念は、○○(男の名前)
助けて・・・だったという。主人公は憤りのまま男を罵る。どうして彼女の気持ちに答えてやらなかったんだと。
革命なんか起こらなければよかったんだ!と。男は苦渋に満ちた表情のまま、
それでも我々は、革命で築き上げた物を失う訳にはいかない、と呟いた。

かなりうろ覚えなので、いろいろ間違ってるとこもあると思う。
とりあえず女と、リーダーの男が救われなくて当時中坊だった自分は主人公と同じような感情を抱いた。
まあ作中で主人公があれは子供の考えだったと後に悔いる描写もあるわけだけど。
冴木忍の作品は結構救われないというか、人間の業を描いた作品が多くて好き。

 

いかなる星の下に (富士見ファンタジア文庫―メルヴィ&カシム)
いかなる星の下に
(富士見ファンタジア文庫―メルヴィ&カシム)


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