ホーム » スレ別 » 後味の悪い話 その122 » 砂ぼうず(うすね正俊)

812 名前:1/3 :2011/07/06(水) 12:35:53.62
なんか親子の話してるから思い出した。めっちゃうろ覚えだけど

『砂ぼうず』盗賊に憧れた青年の話

ある貧しい家に生まれた気弱な若者が、ビッグな男になることを夢見、
母親と妹を捨てて家出し、盗賊団に引き入れてもらう
その盗賊団のリーダーは指揮能力に長け、高い射撃技術を持ち、部下に優しく人望も厚く、なかなか男前だった
若者の夢見る「ビッグな男」「男の中の男」の理想像こそがそのリーダーであり、
若者はリーダーを尊敬し羨望の眼差しを向けていた

盗賊団は政府の物資輸送者を襲撃する計画を立て、若者もその襲撃に参加することになる
襲撃前夜、銃を渡された若者は緊張で眠れなくなるが、
リーダーや盗賊仲間達から「明日はお前も男になって来い」と優しく励まされ、若者は微笑んだ

翌日、輸送車襲撃は行なわれ、盗賊達は物資を漁りながらパーティーの様にはしゃいでいた
そんな時、若者だけは仲間達から離れた場所にいた
若者の前には、輸送車の警備兵が腹から血を流して呻いていた
初めて人を撃った若者はガタガタと震え、嘔吐してしまう
その時、若者の前に、数日前から盗賊団を付回していた謎の二人組みが現れ、
「とうとうやってしまったな」と言った
若者は二人組みに殴られて気を失う

(ここから台詞凄くうろ覚え)
若者が目覚めるとそこは砂漠の洞窟であり、
目の前にはあの二人組みがおり、二人組みの片方の男は何かを取り出した
それは、若者が射殺した警備兵の身分証であった。男は身分証を読み上げ、
身分証の中に入れられていた警備兵の家族の写真を若者に見せ付ける
写真には警備兵の妻と数人の幼い子供達が写っており、
男は「稼ぎが無くなり、この子供達は奴隷として売られるだろう」と言った
若者は動揺しながらも、自分はビッグな男になるのだ、人の一人や二人平気で殺す、
この砂漠は弱肉強食であり、殺される奴が悪いのだと開き直った
男は若者の意見に同意するが、唐突に若者の母親の話を始める。
甘ちゃんだった若者はいきなり母親の話題を出されて焦り始める
男は便利屋であり、家出した若者の母親からの依頼で若者を連れ帰りに来たのだと言う
つづく


813 名前:2/3 :2011/07/06(水) 12:37:02.83
つづき
「お前は何の罪も無い人を殺した。お前が逮捕されれば、
 お前の母と妹は犯罪者の家族として差別され、食べ物も売ってもらえずのたれ死ぬだろう」
若者は男に服従させられ、盗賊団を壊滅させるための囮として利用される

その後、盗賊団のメンバー達はまるで妖怪にでも襲われるかのように次々と神隠しにあった
盗賊団は、若者が裏切ったのだと理解し、若者を追いかけるが、
かく乱されてメンバーがバラバラになってしまい、
若者に夢中になっている隙に謎の二人組みの奇襲を受け、その人数を減らしていく

若者は命からがら盗賊から逃げながら、ふと二人組みに目を向ける
二人組みは倒した盗賊達から意気揚々と金品を剥ぎ取り、
「あ、それいいな」「早い者勝ち」などと苺狩りか何かのようにはしゃいでいた
若者は「俺はこんなに死ぬ物狂いだというのに、この二人組みには俺など眼中に無いのだ」と理解する

途中、若者は恐怖と疲労から心が折れてしまう
そこへ現れた男は、「お前の母親は、これを依頼料として支払った」と言い、ネックレスを取り出す
それを見た若者は衝撃を受ける。そのネックレスは、母親の家に伝わる宝物だった
若者の父が病気で死にかけていた時も、母親はネックレスを売ろうとはせず、父は病気が治らず死んでしまった
「何で・・・俺なんかのために・・・?」若者は涙を流して膝を付いた
すると男は笑い出し、言った
「このペンダントは何の価値も無い品だよ。お前の母親がどうしても持っていけってさ。
 あの母親は本当に馬鹿だ。こんな物を見せればこの甘ちゃんが心を入れ替えるとでも思っているのか。
 本当はな、この仕事の料金は、お前の妹が支払ったんだよ、体でな。
 今頃お前の妹は、奴隷市の檻の中で震えながら、脂ぎったオヤジに買われるのを待ってるだろぜ」
つづく


814 名前:3/3 :2011/07/06(水) 12:38:32.84
つづき
盗賊団も残り数人になってしまう
そこへ、若者が両手を挙げながら現れる
「ごめんなさい・・・俺、家族が酷い目にあってるって聞いて・・・」若者は泣き続けていた
リーダーは若者に銃を向けつつも、
「家族は捨てたんじゃなかったのか?ビックな男に成りたいんじゃなかったのか?」と
どこか諭すかのように語りかけた
若者は心ここにあらずといっや様子で、「ごめんなさい」と呟きながら上着を脱ぐ
若者の体には爆弾が巻きつけられていた

若者の持つ無線機から大音量で男の声が流れ出した
男は爆破をほのめかし、盗賊団に降伏を求めるが、
リーダーは「俺は戦って死ぬ。出て来い、正々堂々勝負しろ」と言った
しかし男が「俺が欲しいのはリーダーの首だけ。後の奴は見逃してやる」と言うと、
盗賊の部下達はリーダーに銃を向けた
「俺たちはまだ死にたくない」
リーダーは生け捕られた

その後、今回の騒ぎで発生したあらゆる負債は全て若者が借金として負うことになった
始めは夢に輝いていた若者は、目が死んで魂が抜けたような顔になっており、
夢遊病患者のようにフラフラと何処へとも無く砂漠の中を歩いて行った
若者の背中を見ながら、二人組みが話していた
「彼は・・・立ち直れるでしょうか」
「あいつは今、最悪の自己嫌悪地獄に落ちてるんだ。自分がどれほどちっぽけな存在かを思い知ったのさ。
 なんったって、心底尊敬していた相手を自分の保身のために殺したんだ。立ち直れなかったならそれまでさ」

最期のページは、若者が涙を流しながらリーダーを銃殺する絵
二人組みは、リーダーの処刑を若者に強要したのだった


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