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942 名前:本当にあった怖い名無し :2012/04/29(日) 23:18:35.55
ちょっと似た感じの話を読んだことがある。

主人公は茶屋の看板娘お花。
幼なじみの恋人がいてそろそろ祝言を挙げようという話も出ていた。
ある日いつも通りに店で働いていると店の側を殿様の鷹狩りの一行が通りかかり
家臣の一人が「殿様が突然の腹痛を起こしたので店で休ませて欲しい」という。
お花は緊張しつつも一生懸命看病し、幸い殿様もすぐに回復した。
殿様はお花の甲斐甲斐しい看病に感謝し、これからは店の名を「お花茶屋」とするが良いと書付けを残していった。

その後、殿様自ら命名されたお茶屋とその看板娘ということで評判になり店は繁盛したが
周囲の人の反応が何かおかしい。
幼なじみの恋人も祝言の話は言い出さなくなった。
一体どうしたのかと問いつめると
「一緒になれるわけがないだろう。殿様のお手が付いては…」という返事。
お花は慌てて殿様は店で休憩をとられただけで何もなかったと説明するが
「実際あったかなかったかはもう関係ない。
世間ではお花は「殿様のお手付き」ということになっている以上夫婦にはなれない」

お花はなんとか誤解を解こうとあらゆる伝手をたどって鷹狩りの時に店を訪れた武士に会うことができた。
武士はお花のことを覚えていて現在の境遇にも同情はするのだが
町娘の訴えを殿様に伝えることなどできるわけもなく、ただ謝罪するばかり。
お花はこのまま一生一人で茶屋を守りながら朽ちていくのか、と絶望する。

誰が悪いわけでもないのに主人公一人が報われないというのがなんともね…。

 

菜摘ます児―杉本苑子自選短篇集
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