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422 名前:1/2 :2012/07/25(水) 02:10:56.34
ロバート・シェクリイ「幸福の代償」

未来のアメリカ。
A氏の家は電機メーカーB社の新製品で一杯だ。この住宅地では当たり前のことだが。

A氏は今日、一人息子が成人してから30年間の収入を抵当に入れた。
財務課員の話では、孫の生涯収入全部を抵当に入れた顧客もいるそうだ。
(既に孫がいるのか、将来生まれるはずの孫という未来の話なのかは、原文でも不明)
財務課員は、平均寿命が150年に伸びたとはいえ、A氏はローンを払いきれないだろう、
息子さんはこの素晴らしい邸宅を相続されるのだから云々、
と言葉巧みにA氏を説得した。

A氏宅には、買ったもののまだ荷解きしていないB社製品、一度も使っていないB社製品が山ほどある。
立体テレビはようやく先月電源を入れたが、そもそも見たい番組がない。

思春期の息子は今日初めて、反抗らしい言葉を漏らした。
「ここにいたくない、宇宙飛行士になって火星に行きたい」
「どうして僕には借金があるのですか?」


423 名前:2/2 :2012/07/25(水) 02:12:45.68
A氏は答える。
パパもお前ぐらいの年には、そんな無謀な夢を見たものさ。男の子はみんなそうだ。
パパがそうしなかったのは、お前のお祖父さんの借金があったから。
それに、ママと出逢って恋に落ちたからさ。

みんなそうしているんだ、愛する家族にいい暮らしをさせるのが一人前の男ってものだ。
ボタンを押すだけで機械がなんでもやってくれる生活を捨てる気か?
つべこべ言わずに勉強しろ。
「パパ、ほんの冗談なんだ。宇宙飛行士になんかならないよ。僕、自動修理機を修理するエンジニアになる」

A氏の職場は万能洗濯機製造工場。
一日8時間、オートメーションラインから出てきた製品のボタンを押して、最終チェックをおこなうだけの簡単な仕事。
しかしA氏は気づいてしまった。
ボタンを押すだけの仕事は、おもしろくも何ともないのだ。無味乾燥の極み。

50年代の作品のせいか、クレジット決済が登場しない。
やって来た財務課員に、現金入りの封筒を渡してるんだよね。


435 名前:本当にあった怖い名無し :2012/07/25(水) 17:52:23.97
>>422-423
この話、現代アメリカも日本も住宅ローンなんかで近い状態になってるから
なおさら後味悪いね。子供の未来の先食いというか。。

436 名前:本当にあった怖い名無し :2012/07/25(水) 19:37:31.54
住宅ローンとかの個人的な借金じゃなく
国が抱えてる借金の方を連想してしまった

 

人間の手がまだ触れない (ハヤカワ文庫SF)
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