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355本当にあった怖い名無し:2012/12/24(月) 03:26:47.36
フリークスで思い出したので。江戸川乱歩「踊る一寸法師」(うろ覚え)

物語の語り部はあるサーカス団の宴席にたまたま同席することになった男。
サーカス団には禄(ろく)さんと呼ばれる気の弱い小男の道化師がいた。
禄さんは気が弱く体も小さいことから、団員皆の格好のからかいの的。
この日は俺は酒が飲めないから厭だ、厭だと盃を断り続けるのだが、
終いには仲間に逆さ吊りにされ頭から酒樽に漬け込まれる始末。
けれど気弱な禄さんは「ひでぇなあ」と笑いながら耐えている。
語り部の男は団員のふるまいに嫌悪感を感じてはいるようだが、淡々と見守るだけで止めたりはしない。
やがて、余興として誰か何か芸をして見せろという話が持ち上がった。
ここでも槍玉にあがるのは禄さん。隠し芸などないことを知ってる皆にからかわれているのだが、
禄さんは玉乗りのお花(彼女も禄さんを苛めて遊んでいる)を助手に、
奇術師がやっている「美女切断の奇術」を披露しようという。
場は大いに湧き、いよいよ芸が始まった。
お花が入った箱を鋭い刃物で切断する禄さん。
中からは畜生、こいつ妾を本当に殺す気だよッという生々しいお花の悲鳴が響き渡るが、
皆は見事な芸だ、お花の演出もいい、こんな特技が禄さんにあったとは…とやんやの喝采。
やがてお花の首が切り落とされるクライマックスに達したが、
その後普段の舞台ならお花が戻る頃合いになっても彼女が現れる気配は一向にしてない。
そのうち、どこからかきな臭い煙が漂ってきた。テントがいつの間にか燃え出していたのだ。
蜘蛛の子を散らすように逃げ出す団員たち。
語り部もテントをめくって外へ逃げる。
そして語り部は、何かが滴り落ちるスイカのような大きさのものを抱え上げ、
月明かりの下で嬉しそう一人踊る狂う禄さんの姿を遠くに認めるのであった。

 

陰獣 (江戸川乱歩文庫)
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