美神(三島由紀夫)

849本当にあった怖い名無し:2013/01/12(土) 10:22:50.29
三島由紀夫「美神」

考古学者R博士は死の床についている。
美術愛好家のN医師が付き添い、献身的に看護している。
寝室には、かつてR博士が発掘した大理石のアフロディテ像が、美術館から特別に運ばれた。
死期を悟ったR博士のたっての願いだったのだ。

R博士はアフロディテ像を満足げに眺めながら、Nに著書を読ませている。
『……像の高さは2・17m…』
R博士はNを制し、考古学者や美術研究家の著書の、アフロディテ像の記述を読ませた。
どれも高さ2・17mとの記述がある。
R博士は笑い、学者を馬鹿にし、懺悔した。

R博士はかつて、アフロディテ像を一目見て虜になった。
この美しさは公共の財産になるべきだと理解していたが、
それでも"彼女"と個人的な秘密を分かち合いたいと思い、悪巧みをめぐらせた。
手ずから測った高さは2・14m。
しかしR博士は、2・17mと発表した。

「何が碩学だ、わしの著書から引用しただけではないか。誰一人として実測した者はおらんのだ」
Nに、3m弱の細長い板・定規・物差しで高さを測らせるR博士。
何 回 測 っ て も 2 ・ 1 7 m。

「おのれ、裏切りおったな」
錯乱して事切れたR博士のために祈り、Nは扉を開けて人々を招き入れた。
ある婦人が悲鳴をあげた。
R博士の死に顔があまりに恐ろしかったので。


851本当にあった怖い名無し:2013/01/12(土) 15:33:56.99
>>849
ごめん、分からなかった。
裏切ったのは誰?
アフロディーテはすり替えられたものだったの?
それともアフロディーテが裏切って自ら大きくなったの?

870 本当にあった怖い名無し:2013/01/12(土) 21:23:12.61
>>851
アフロディーテが自ら大きくなった。
あたくしの美しさをそんなチンケなやり方でひとり占めした気にならないことねwwwww
ってことかなと解釈してる。

909 本当にあった怖い名無し:2013/01/13(日) 22:02:48.31
>>851
R博士はアフロディテ像が裏切ったと思った。
N医師は、R博士が耄碌してありもしない妄想を信じ込んだと思った。

 

鍵のかかる部屋 (新潮文庫)
鍵のかかる部屋 (新潮文庫)