発作(松本清張)
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345:1/2:2013/04/27(土) 00:12:03.27
- 松本清張「発作」
主人公の田杉は新聞社勤め。 
 勤務中に競輪に行くような役立たずの怠け者だが馘にするわけにもいかず、
 閑職の調査課に左遷された。女房が結核を患い、サナトリウムに入って一年あまりになる。 
 女房の姉からの手紙は汚い字の鉛筆書きだ。
 …お前さまには苦労をかけるが仕送りを増やしてはもらえまいか。なぜ毎月額が減るのかカネオクレタノム。
 …さみしがっているから顔を出してはもらえまいか。来られないのならカネオクレタノム
 …病状は相変わらず思わしくない。病院代がいくらでもかかるからカネオクレタノム。
 田杉は、
 (インクで書け。女房も早くくたばるか良くなるかどっちかにしろ)
 と苛々せずにはいられない。女房が入院した当初、田杉は給料の1/3を送金していた。 
 競輪代や後述する浮気の費用で少しずつ削り、今では1/10程しかくれてやらない。
 給料の前借りを引かれるので、田杉の手元には額面の1/3しか入ってこない。
 なので、毎月借り越しを続ける悪循環。
 とうとう会計で前借りを断られ、定年退職した元同僚の、
 退職金で高利貸の真似事をやっている男に泣きつく始末。
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346:2/2:2013/04/27(土) 00:13:43.50
- ある日、田杉が競輪に行っている間に、バイトが議員の写真を間違えて他部所に渡した。
 誰もその無名議員の顔を知らなかったので写真は間違えられたまま紙面に載り、クレーム発生。
 無能課長にネチネチ責められた田杉は逆ギレ。
 「さっきから口うるさく責任と仰いますが具体的に何をすればいいのか」
 「お、おう。とりあえず部長に謝ってこいや」
 (課長は無能だが、普通に叱責しただけ)
 (所詮はバイト、主任の君が目を通すべきだが何をしていた?→仕事中に競輪!?)浮気相手のOLの気持ちが読めない田杉はまた苛々。 
 自分の浮気を棚に上げて女の浮気疑惑を責めるが、はぐらかされる。
 女は田杉のなすがままに体を与えるが、心は冷えているらしい。情事を終えて空いている電車に乗った田杉は、なぜか座る気になれず立っていた。 
 目の前に座る50がらみの無精髭は居眠りをしていて、
 頭どころか上半身をグラグラ揺らし続けている。(まっすぐ座るかいっそのこと横倒しになるか、はっきりしろ!) 
 田杉はいきなり男の首を締め上げた。おしまい。





