氷菓(米澤穂信)

690本当にあった怖い名無し:2013/06/28(金) 00:12:28.71
去年アニメになって有名なやつだけど
米澤穂信 古典部シリーズ第一作「氷菓」

高校OBの姉の命令で廃部寸前の古典部に入部させられた主人公は
古典部部長のヒロインに主人公の推理力の高さを知り叔父の過去の秘密を解くことを依頼される。

ヒロインの叔父は古典部初代部長で高校を何らかの事情で中退しており、現在海外で消息不明。
ヒロインの叔父の記憶は子供のころに叔父が創刊した古典部機関誌「氷菓」の
タイトルの意味を聞いて、涙したことくらいしかない。
叔父の退学の真相となぜヒロインが叔父の話を聞いて泣いたのかを知るために
主人公は古典部の仲間と高校の過去を探る。

高校にまつわる過去の文献を調べてみると、
叔父が高校退学直前に執筆した機関誌「氷菓」の創刊号が紛失しているなど
一次資料の収集には苦労したものの、学生運動が盛んな当時らしい勇ましい文面で
叔父が生徒の自治を守るために戦ったことを称える文書が見つかる。
この資料と当時の学校の沿革を記した資料から主人公は一つの仮説を立てる。

当時学校では教員主導の文化祭縮小の動きがあり、叔父はその反対運動のリーダーだった。
叔父の運動が実り文化祭縮小は撤回されたものの、運動の責任をとる形で叔父は退学。

ついでに語源が不明だった主人公の文化祭の俗称は
叔父の名前にちなんだ名だとわかり、一度は全員この結論に納得する。


691本当にあった怖い名無し:2013/06/28(金) 00:13:05.42
しかし、検討する上で主観的評価に過ぎないとして資料として棄却された
叔父の後輩が執筆した氷菓第2号の「あれは英雄譚ではない」という述懐や、
ヒロインが叔父の過去を聞いて泣いた、という記憶が
明らかに主人公の仮説に矛盾することに思い至り、推理を一からやり直す。
そして第2号を執筆した叔父の後輩を見つけ出し真相を聞き出す。

叔父はもともと気弱で温厚な生徒で
文化祭縮小反対運動のリーダーは同級生に担ぎあげられただけのお飾り。
実際の運動は叔父を祭り上げる例の文書を書いた他のノリのいい生徒が中心に行い、
彼らが授業ボイコット中に校庭でやったキャンプファイヤーがボヤ騒ぎとなり、
その責任をとる形で叔父は退学。
叔父が退学直前に名付けた機関誌「氷菓」の意味は氷菓=アイスクリーム=I scream。
誰からも庇って何の釈明もできずに生贄になった叔父の心の叫びだった。

文集のタイトルに駄洒落で爪痕を残すことくらいしかできなかった気の弱い叔父と
叔父を切り捨てた後で英雄扱いする当時の生徒達が後味悪かったわ。

 

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