ホーム » スレ別 » 後味の悪い話 その144 » 夢(高橋葉介)

5401/2:2013/10/31(木) 16:27:24.40
高橋葉介の短編

「私」は洋装美女と腕を組んで歩いている。
「私」は眼鏡をかけた男だが、顔は影になって見えない。
(この女は誰だ?ああそうだ、「私」の愛人だ)
(「私」は愛人を家に連れていく途中なのだ)
愛人は、「ね、奥様ってどんな御方?あたしを見たら何とおっしゃるかしら」と、
にんまりと笑う。

家には誰もいない。
愛人は本妻気取りで茶を淹れた。
そこへ、愛人と同じ顔をした和装の妻が帰宅した。
「あなた、遅くなってごめんなさい。お茶を淹れてくださったの?ああ美味しい」


5412/2:2013/10/31(木) 16:30:46.85
愛人の姿は消えていた。
微笑む妻を見て「私」は思う。
(これは誰だ?そうだ、「私」の妻だ)
(「私」には愛人などいない)

(そこでわたしは夢から覚めた)
座敷の真ん中に敷いた布団の上で、愛人や妻と同じ顔の若い娘が目を覚ました。
肩と腕を掛布団の上に出して、行儀よく仰向けになったままで娘は思った。

(わたしは女だ。「私」という男はどこにもいない)
(妻も愛人も夫も恋人もいない。家族もいない)
(わたしはずっと一人だった。これからもずっと一人なのだ)
娘は顔を手で覆い、静かに泣いた。

 

怪談 (ソノラマコミック文庫 た 48-4)
怪談 (ソノラマコミック文庫)


後味悪い
(後味悪ければクリック)
読み込み中 ... 読み込み中 ...