ワーニカ(チェーホフ)
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237:本当にあった怖い名無し:2014/02/02(日) 21:35:38.52
- ロシアの作家、チェーホフの短編『ワーニカ』
モスクワの靴屋で丁稚奉公をしている9歳の少年、ワーニカが主人公。
彼は両親のいない孤児で、頼れる親戚は田舎に住むおじいちゃんだけである。靴屋での扱いは酷いもので、親方にはしじゅう怒鳴られ、
ろくな食事も与えられず、硬いパンや残飯を少し貰えるだけで
寒いモスクワなのに、シチューやスープも飲ませてもらえない。
ちょっと失敗しただけでも酷くぶん殴られ、
職人にも馬鹿にされ、玄関の土間で寝かされている。おじいちゃんは、田舎の地主のお屋敷で働く下男である。
同じ屋敷で小間使いをしていた母は、三ヶ月前に病気で死んだ。
残されたワーニカは、厄介払いのようにモスクワに丁稚奉公に出されたのだ。
(チェーホフはあえて書いていないが、父親の描写が出ない事から、
ワーニカは地主が小間使いに手をつけて産ませた子供だと推測される)「お願いです、おじいちゃん。僕を助けに来て下さい。
このままだと、僕は死んでしまうもの」
ワーチカは三ヶ月間耐えぬくが、我慢できずに
ある夜、おじいちゃんに手紙を書き、
なけなしの1カペイカ硬貨で買った封筒に入れた。ワーニカはちょっと考えた末に、
『コンスタンチン・マカールイチさま』と祖父の名前を書いた。
というのも、郵便馬車の御者が彼に言っていたのだ。
手紙をポストに入れさえすれば、世界中どこにも手紙が届くのだと。
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238:本当にあった怖い名無し:2014/02/02(日) 21:41:46.75
- しかし『コンスタンチン』はファーストネームを、
『マカールイチ』は父称であり、祖父の本名ではない。
おまけに幼いワーニカは屋敷の住所を知らない。
住所も宛名も正確ではない手紙が届くはずはないのだが、
ワーニカは安心しきって眠ってしまう。夢の中では、ペチカに腰掛けた祖父が、手紙をメイドに読んで聞かせていた。
せめて夢の中では幸せにしてやろうとチェーホフは思ったんだろうが、
この後のワーニカを思うと、何ともやり切れないエンドだった。
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240 :本当にあった怖い名無し:2014/02/02(日) 22:44:18.20
- >>238
マッチ売りの少女のようだ・・・切ない