帽子世界

630本当にあった怖い名無し:2014/02/13(木) 15:49:14.52
フリーゲーム「帽子世界」のメルシナリオがかなり後味悪い

様々な価値観によって成る世界があって(戦の世界や、法の世界に、玩具の世界など)
それら一つ一つの世界は管理人がいて、管理人は帽子の力で自分の世界を形作っている
そういった世界を全部ひっくるめて「帽子世界」としている、大体そんな世界観のゲーム

ゲーム開始時に6人の主人公を選べて(全部各世界の管理人)、
メルはその一人に過ぎないのだが
一応メルシナリオが主軸となって全主人公のシナリオは書かれており、大筋は同じ
そしてそのメルシナリオが一番キツい。と少なくとも俺は思う

メルは夢の世界の管理人で、同時に帽子世界の最古の住人
(ちなみに外見は全キャラ中最年少レベル)
夢の世界も全ての帽子世界で最古の世界であり、
メルは帽子世界の始まりから現在のすべてを見てきた
幾多のアバター(住人)が自分の価値観を育て、
帽子を得て、独自の世界を作るのを見てきた

そのメルが、突然他の世界の管理人(選ばれなかった5人の主人公候補)の帽子を奪う
「帽子取り」を始めるところからゲームは開始される


631本当にあった怖い名無し:2014/02/13(木) 15:50:32.46
「過帽子症候群」という病気があり、帽子は絶大な力を管理人に与えるが、
徐々に被っている管理人の自我を侵食してゆき、最終的に管理人は消えてなくなり、
管理人が消えると管理人を食った帽子も消える
帽子を脱いでも無駄。帽子を消すこともできないので、治療方法はない
この過帽子症候群への対処方法が帽子取りというシステムで、
メルはそのために帽子取りをやっている

物語の後半で、実は帽子世界というのは
大勢の人間の脳を繋げた演算システムだということが判明する
現代の医療技術では治せない患者の脳同士を繋げ、
独自のネットワークを形成し、仮想世界を作り上げる
その結果が「帽子世界」。

管理人とアバターは全て、肉体を失い脳みそだけになった人間たちだった
そして「帽子」とはそのネットワーク内でハブにされ、
徐々に機能を失い停止した個人の脳みそ
「帽子」を被ることによって二人分の能力を得られるので、
管理人は絶大な力を行使できる
だが機能停止した脳に自我を侵食され、やがて二つの脳は共に機能停止してしまう。
これが「過帽子症候群」の正体

帽子取りとは、奪った帽子の管理人の一人の自我を自分の脳に移し残すことで
たった一人の帽子を失った管理人だけを救う手段でしかない
それを現実世界で目覚めた仲間の一人であるヨウコは知って、
メルを止めるよう現実世界のスタッフに協力を仰がれる

結局メルは止められず、5つの帽子を奪い取り、ついに6つの帽子は揃ってしまう
現実世界に帰還したヨウコは退院扱いとなり家に帰されるのだが、
その前にさらなる事実を知らされる


632 本当にあった怖い名無し:2014/02/13(木) 15:51:37.35
「帽子世界」は単なる医療システムではなく、
新たなる資源開発問題への対処実験システムだった

大量の人間の脳を繋げたネットワークの演算力は
現代のコンピュータのそれをはるかに上回り
「具現化エンコード」という技術で、データを現実世界に
具現化(召喚という感覚に近い)することができる
この具現化エンコードに現在足りてないのは演算力だけで、
メルが帽子を奪ったトップテンの管理人たちは特に高い演算力を持つ

つまり人命を惜しんでいたのではなく、
貴重なサンプルが失われることをスタッフたちは惜しんでいたのだ
それを聞かされたヨウコは当然キレて、警備員たちに取り押さえられる……
という場面で、突然メルと仲間が現実世界に現れる

具現化エンコードに足りないのは演算力だけ。
メルの本当の目的は6つの帽子(脳)を並列コンピュータにすることで
具現化エンコードの要求値に足りる演算力を手にすることだった
現実世界に具現化さえしてしまえば過帽子症候群に怯えることもない

メルは帽子世界全体を管理するエイプスというスーパーコンピュータを抑え、
全てのアバターと管理人を具現化するために
警備員たちを蹴散らして研究施設の地下深くに進む


633 本当にあった怖い名無し:2014/02/13(木) 15:52:15.38
そこで待っていたのは、帽子世界を作り上げたビッグママ
メルのビッグママ嫌いは帽子世界では有名で「帽子世界七大迷惑」に数えられるほど
その理由をメルは決して語らないが、
物語の終盤で自分のパートナーのショコラにだけは打ち明かす
それは不完全なシステムを作り上げ、多くの人命を失わせたビッグママは
責任を取る必要がある、という理由
責任を取るにはどうすればいいの?という質問に対しメルは
「そりゃ死ぬしかねーな」と一蹴
だけど同時にそれは、最古にして始祖の帽子世界の住人で、
そんな世界を作り上げてしまったメル自身にも跳ね返る
ようするに自己嫌悪というか、近親憎悪

エイプスの前で待ち構えていたビッグママは、メルが自分の実子であることを打ち明ける
生まれた頃から植物人間だったメルは
帽子世界のシステムを使わなければ生きられない子供だった
また、ビッグママ自身も帽子世界全体を管理するプログラムになる過程で、
自分の肉体を失っていった
文字通り血肉を削る想いで、子供たちを救いたかった

それを聞かされてもなおメルはビッグママ・プログラムを倒し、
エイプスを奪うことに成功する


635 本当にあった怖い名無し:2014/02/13(木) 15:55:19.22
これでEDに入るわけだが、
なぜビッグママがメルを止めたがったのかは言われておらず
また帽子世界全体の管理プログラムを倒して大丈夫なのか?
という疑問の答えもEDで解決される

つまり、メルがこれから帽子になって管理プログラムになるのだ。
メルの望み通り帽子世界は救われた。だがそこにメルはいない
メルはヴェール状の帽子となり、パートナーのショコラがそれを受け継ぎ、EDは終わる

……が、2回目以降のEDで追加場面がある
なんかいかにも黒幕そうな男が研究所で起きたことを電話報告している内容なんだが
その最後が「おやすみなさい。ビッグママ」で締めくくられる

なんだよビッグママ生きているのかよ!
じゃあエイプスの前で全てを打ち明け始めたビッグママの話を遮って
「もうやめろ…」とらしくなく言って、ビッグママプログラムが倒れるのを、
仲間は振り返らずにエイプスに向かったが、自分は一度だけ振り返り
その後みんなの脳みそがぷかぷか浮かんでいる巨大ビーカーの横で
らしくなく体育座りしていたメルは
ビッグママが不完全な世界を作った責任を「死ぬしかねーな」で取らせ、
自分もそれから免れることはできないとばかり
帽子になることで帽子世界を救ったメルはどうなるんだよ!

ビッグママ生きていたうえになんか黒幕っぽいじゃねーか!
下手するとメルに言ったこと嘘っぱちの可能性もあるぞ!とかなんとか、
ただでさえ「ほろ苦い(主人公メルにとっては)ハッピーエンド」だったのが
それですらない可能性が提示されるという……


636 本当にあった怖い名無し:2014/02/13(木) 16:04:08.26
最後の7行ほどがよくわからないけど、
とりあえずその世界観考え出したやつすげえ

642 本当にあった怖い名無し:2014/02/13(木) 21:58:57.30
>>635
そこまで感情移入できるのは凄い