ホーム » 小説 » 小説/な行 » 人魚の日(望月博之)

616 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日::03/05/06 19:50
なんかのショートショート集の中の話なのですが。

ある男が海で人魚に出会い、お互い一目惚れをした。
男は人魚を自宅へ連れかえり、こっそり共同生活を始めることにした。
人魚なので、プールとまではいかないがやはり水気がないとやっていけない。
それで常に風呂に水を張り、そこを彼女の居場所とした。
男は極力注意を払い、周囲に人魚の存在が感づかれないように生活していた。
なぜならば、こんな珍しい生き物が人々の知るところとなれば、
彼女は見世物同然の扱いをうけ、男とは引き離されてしまう。
彼女を心から愛しているその男に取って、それは耐えがたいことだった。

しかし破局の時は突然訪れた。男が少し油断した隙に、
あつかましい友人の一人がずかずか家に上がり込んできたのだ。
そして風呂を借りようと無遠慮にバスルームに押し入り、
風呂おけでうたたねしていた人魚を目撃した。
それを見た友人は飛びあがり、一目散に男の家から走り去った。
もう終わりだと男は思った。あの口の軽い友人はそこいら中に人魚の存在を触れまわり、
マスコミがここに押し寄せてくるだろう。
彼女は連れさられ、研究と称して解剖すれすれの扱いさえ受けるかもしれない。
だめだ、そんなことはさせない。男は車に人魚を乗せ、かつて二人が出会ったあの海に向かった。
彼女を海へ帰すために。
男は彼女の幸福を願いながら、海へと帰った人魚を見送った。
辛い別れの余韻を噛み締めながら、男がもはや彼女のいない自宅へと戻ると、
もの問いたげな見知らぬ男が立っていた。もうマスコミが来ているのか。
「女はどうしたのかね?」
「もういない、海に帰したよ」
どれだけマスコミが騒ごうが、当の人魚がいなければどうにもできまい、男はそう思った。
「そうか海に投棄して証拠隠滅を図ったと言うわけだ。私は警察だ。
 ここのバスルームに女の死体があったという通報を受けた。署までご同行願おうか」

………

随分昔に一回読んだきりなので、後半かなり漏れのつくりが入ってますが、
基本ストーリーはこのまんまッス。

 

ショートショートの広場 (講談社文庫)
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