ホーム » スレ別 » 後味の悪い話 その28 » 仔猫のスープ(内田春菊)

64 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/06/03(金) 14:13:59
内田春菊の短編「仔猫のスープ」

主人公は、大学に通う若い女性。つきあい始めて1年の彼氏Yがいる。
ルームメートは同じ大学に通う料理好きの女友人Nで、心理分析がクセだ。
Nはいつも料理を作るがやせていて、ひ弱な感じ。主人公はそれが不思議。
その朝、主人公は悪夢を見て目が覚めた。
愛猫ちる子の産んだ仔猫が1匹行方不明になり、台所の大鍋で煮られていた夢……。
でも現実には、ちる子は恋愛をする前に避妊手術を受けていた。
寝起きに、Nの作った美味しいスープを飲んで、主人公はデートへ。
Yとは、たらたら続いている。主人公は同居人Nの事を彼に話すが、
彼は別に紹介してもらわなくても良いという。
ある日、帰宅するとちる子の耳が欠けていた。
Nは、ちる子が最近よくケンカしてくる事を告げる。
恋愛できない猫は、ストレスがたまるという。
心配する主人公を、猫のような目で見つめるN…。
その日、出されたスープには、何かコリコリするものが入っていた。
Nはキクラゲだという。飲み下すものの、何かひっかかる主人公。
しばらくして、主人公は発熱した。Nがホットチョコレートを作ってくれる。
大学の講義に出るものの、不快感は増すばかり。
耐えられない苦痛、吐き気…。


65 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/06/03(金) 14:15:00
[つづき]
となりの席の女の子Mが、医務室に運んでくれる。止まらない汗。
Mは苦しむ主人公に、Yが以前につきあってた女のことを知っているかたずねる。
知らない…と主人公。主人公を心配するMは、ためらいながら、
Yの子を妊娠して中絶した元カノの事を話す。
もともと丈夫な子ではなかった。運も悪く。
その子は、もう子どもが生めない身体になってしまった…。
うちの大学の子だろうか?
主人公の問いかけに、Mは答える。「そうよ… N…とかいう…」

いろいろな事が、主人公の脳裏を駆けめぐる。
そう言えば、Yとつきあい始めたのと、Nが転がりこんで来たのは同じ頃。
もう恋愛の出来ないストレス。欠けた耳、こりこりしたスープ。
Nに会いたがらない彼。
彼女が自分を見つめる謎めいた視線の意味は…。
何も知らずに、自分はNの作った料理を1年間も…。
彼女は、料理に何だって入れられた。
再び嘔吐。身体がしびれ、立っていられない。
Yの名を呼びながら、主人公の意識は、遠のいていく。
ただ幸せになりたかっただけなのに。
どこかで、仔猫の鳴き声が聞こえた……。


68 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/06/03(金) 16:35:59
仕返しは主人公やちる子ではなくYにしてやればいいのに・・・
何故何も知らない主人公に?という後味の悪さがいいね。

70 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/06/03(金) 16:55:57
>>68
確か「怪談」に、
早死にした妻が、夫の再婚相手の若妻を呪い、
化けて出て首を持ち去る、という話があった。
その時、物語の末で書き手が、
「心変わりをした夫を殺せば良いようなものだが」と言うと、語り手が
「確かにそれが筋道だが、女とはそういうものなのです」
と答えていたような気がする。
男は本当はやっぱり自分を愛してるのだから、ダマされただけ。
ダマしてる女が悪い、という思考では。それが切ないのではなかろうか。

 

仔猫のスープ (集英社文庫)
仔猫のスープ
(集英社文庫)


後味悪い
(後味悪ければクリック)
読み込み中 ... 読み込み中 ...