頼子のために(法月綸太郎)

317 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/07/12(火) 23:56:10
法月綸太郎「頼子のために」
ややうろ覚え。スマソ。

公園で女子高生(西村頼子)が扼殺死体で発見された。
女子高生は妊娠していた。

被害者の家族は、大学教授の父と、数年前に交通事故で
半身不随になり、寝たきりの母。

警察は通り魔の犯行と見て捜査を進めていた。
が、その矢先、頼子の父(西村)が自宅で服毒自殺を図る。
一命はとりとめたが、病院にて昏睡状態。
その西村の書斎から遺書が発見された。
その内容は、「娘の頼子は、通っている学校の若い教師に孕まされ、
そして殺された。自分は娘の敵を討つ」というもの。
(実際はその遺書(手記)がとんでもなく長く、自分にとって
娘がどれほどかけがえのないものか、を連綿と綴っている。)
実際にその教師も手記どおりに殺されていた。

警察の捜査も、手記にほぼ疑いの余地は無いとして、
頼子殺し→教師  教師殺し→西村 ということで落ち着いた。


318 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/07/12(火) 23:56:48
以下ネタバレ

だが、頼子の通っていた高校は、自校の教師が犯人、ということに
納得がいかず、主人公(探偵)に捜査を依頼する。
警察とは違う角度から独自の捜査を進める探偵。
西村の手記を読み、周辺の聞き込みから事件の真相が明らかになった。

数年前の交通事故当時、母親は男の子を妊娠していた。
事故でお腹のなかの子はあぼーん。
その事故は、車道に飛び出した幼い頼子を助けるため母が身代わりとなったものだった。
その事故以来、どこか娘に対して冷めた態度を取る父親。
そんな父親にずっと認めてもらいたい頼子。
成長とともに頼子は母親の若い頃に生き写しとなる。(意識して真似ている部分もある。)
ある日、17歳に成長した頼子は、父親(泥酔し、前後不覚となっている)
のベットに忍び込み、男女の関係を持ち、頼子は子供を身篭る。
そして頼子はあの日死んでしまった弟の代わりとばかりに父親に意気揚々と報告する。

まだ妻にベタ惚れな西村は、自分と妻をこんな不幸に陥れた娘が、
今度はこんな手を使ってきたかー! と激昂し娘を殺してしまう。
で、教師が殺したように偽装工作。


319 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/07/12(火) 23:57:11
で、エンドになりかけたところに主人公に、
「もしかしたら、最初から何も知らないような顔をした西村の妻が、
事前に全部気づいていて見ぬフリをし、夫に娘を殺させ、
自分とお腹の子の仇討ちと、夫の自分への愛を確かめようとしたのでは・・・?」
という疑惑がもちあがる(その伏線のようなものもあったりする)。

だが、何も確証もなく もにょる主人公。で終わり。

 

頼子のために (講談社文庫)
頼子のために (講談社文庫)