ホーム » 小説 » 小説/な行 » にがい再会(藤沢周平)

115 名前:1/3 投稿日:2006/06/01(木) 15:29:58
藤沢周平の短編。

主人公は家業を継いで羽振りのいい生活をしている。
妻はいるが女遊びも盛んで、不自由ない暮らしぶりだ。
ある日、幼馴染みの少女が戻ってきたと言う話を聞く。

主人公は、子供の頃に彼女と結婚したいと思っていた。
だがそれは適わなかった。
主人公は名の通った商家の息子、幼馴染みの少女は貧乏な家の娘だった。
莫大な借金を抱えてどうにもならなくなった少女の両親は、娘を売った。

彼女が素性の悪そうな男に口説かれて連れて行かれる場面を見た。
でも何も出来なかった。少女が名前を呼んだが、怖くて逃げ出してしまった。
それからずっと会っていない。


116 名前:2/3 投稿日:2006/06/01(木) 15:30:42
主人公は彼女に会いに行く。謝りたかったからだ。
突然の来訪に幼馴染みは驚くが快く出迎えてくれた。
彼女は匂い立つように美しく成長していた。昔話に花を咲かせて過去のことを詫びた。

あれから主人公は彼女の元を何度か尋ね、一緒に酒も飲んだ。
ひょっとしたら彼女もまだ俺を思っていてくれるかもしれない・・・
そんな期待を胸にしていたところ、噂を聞いた。
彼女には男がいるらしい。家に出入りしているところを目撃されている。

その話を聞いて主人公は不快になる。酔っぱらって彼女を尋ねた時、つい口が滑った。
「男がいるって本当かい?」「いたらどうしますか。これで私たちの関係は終わりってこと?」
「そうじゃない、聞いただけだ」
そんな会話の後、彼女は切り出した。あの男は前に働いていた店の男で、しつこくつきまとってくる。
何とか追い払いたいが、そのためにはお金がいる。
「500万あれば手が切れるんだけど」


117 名前:3/3 投稿日:2006/06/01(木) 15:31:38
主人公の中に警戒心が持ち上がってきた。断れば関係はそれっきりだろう。
彼女と続くためには金を払わなければいけない。だが男と一緒にグルになっているかも知れない。
1回限りならいい。でも2度目があれば・・・?何度も要求されたら身の破滅だ。

考えた末に、主人公は50万だけ用意して彼女に手渡した。
金を渡された彼女はキョトンとした顔をしていたが、ゲラゲラ笑い出した。
「やっぱり。こうなるだろうと思っていたのよ。貴方は昔とちっとも変わっていないのね」
試されたと知って主人公は驚く。

「私だって500万のお金を都合してもらえるなんて思い上がってませんよ。
身分はわきまえています。でもね、ひょっとしたらって期待したんだけど無理だったわね。
あ、お金には困ってないの。ちゃんと蓄えがあるから。
そうそう通っていた男の人はね、前の店で親身になってくれた人でお給金の残りを持ってきてくれたのよ。
ごめんなさいね、騙すようなことして。でもこれでさっぱりしたでしょ?
近々引っ越すからもう会えないわね。場所は教えない方がいいわよね?」

主人公はその夜、しこたま飲んで酔っぱらった。
———————————-
幼馴染み、さっぱりしてるけど内心傷ついてるだろうなあ。


125 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/06/01(木) 17:38:59
説明不足だった。
幼馴染みの方は再会するつもりなんてなかった。
誰にも連絡しないで帰ってきて、またすぐ出ていくつもりだった。

でも主人公は再会した幼馴染みにかなり気のある素振りを見せる。
もろに下心があって、幼馴染みも同じ気持ちだと信じ込んで。
だから幼馴染みは主人公の気持ちが本物かどうか知りたかったんだろう。

「こいつは所詮売春婦、裏に男がいるんじゃないか、騙されてるんじゃないか」って思うと見越して。
結果、男はやっぱり幼馴染みを売春婦として扱った。
だから寝るための金で50万を出してきた。
そこを笑ったんだよ。幼馴染みとして会いに来て、
救えなくてごめんと謝るのに売春婦として扱うのねって。

 

夜消える (文春文庫)
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