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241 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/06/02(金) 18:06:05
もう一つ思い出した。乱歩の「白昼夢」。

暑い昼下がり、男が店先から飛び出して叫ぶ。
「私は人殺しだ!妻を殺したんだ!」
人々はまたかと言う顔で相手にしない。いつもの事だ。
騒ぎを聞いてやってきた警官に男は訴える。「捕まえてくれ!私は人殺しだ!」
警官は男を宥めるが、捕まえる気はない。男は言う。「ほら見ろ!あれが妻の死体だ!」
男の指先には店のショーウィンドーがある。飾り棚にたくさんの人形が飾られている。
それまで心配そうだった人も、失笑して立ち去った。

私も苦笑しながら立ち去ろうとした。件のショーウィンドーの前を通り過ぎながら。
飾り棚にはたくさんの人形がある。中に一つ、とても精巧な標本があった。
それは生きているように弾力のある肌をし、よく目をこらせば毛穴や吹き出物まで・・・

 

パノラマ島奇談 (江戸川乱歩文庫)
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