ホーム » スレ別 » 後味の悪い話 その49 » 物語は終わらない(杜野亜希)

522 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/06/24(土) 12:54:46
神林&キリカシリーズという推理漫画の「物語は終わらない」

主人公・神林は大学生推理作家。
レディーXという年齢国籍不明のミステリアスな探偵が主人公のシリーズを書いているが、
作品から受ける印象とは違い本人は眼鏡をかけたオタッキーな奴。

商売敵でハードボイルドな推理小説を書いている佐久間は反対にイケメン。
彼の描くシリーズの主人公・英遼二は天才で女たらし。様々な美女のもとを渡り歩く。
そしてどこか破滅的で、暴走しがちな彼を冷静沈着な女性秘書・阿部美冴がいつも抑えている。
佐久間はほぼその探偵と同じ性格で、探偵と同じようにスケコマシで様々な女性を泣かせていた。
最近佐久間はシリーズの新作を出さない。スランプだと言う噂だった。
自分の分身でもある暴れ馬の探偵をどう落ち着かせるべきか迷っているかのようだった。

佐久間が自殺したとの報せが神林に届く。
消臭剤に含まれる劇薬のパラコートを服用したのだった。
パラコートでの自殺が一時期流行ったために今は使われなくなっていたが、
執筆のために取り寄せていたと、編集部の狩野は言う。
佐久間を小説の世界に引き込んだのは、元はといえば狩野だった。
遊び人だが佐久間には学生時代から才能があり、狩野がその才能を見出し作家として大成させた。

佐久間の部屋を調べる神林。部屋からは大量のメモが見付かる。
佐久間は有名なメモ魔で、ネタが浮かぶと手当たり次第にメモをつけるらしい。
スランプの末の自殺だと思われていたが、そのメモの数々を見て
佐久間にまだ書く意志があったはずだと悟る神林。
他殺の可能性を抱き、佐久間が前日に口論していたという元恋人の女優に近づく。
女優は犯人ではなかったが、あれは自殺でその原因が自分かもしれないと言う。
ふられた事を根に持ち自殺未遂までした事のある女優は、
「貴方は本当に人を愛した事がないし、ずっとそばにいてくれる女性もいない」
というような事を叫んだ。それまでどんな憎まれ口を叩いても平然としていた佐久間が、
図星を指されたかのように悲しみに歪んだ顔をしたという。
スランプで落ち込んでいた佐久間を追い詰めたのは自分だと女優は泣く。


523 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/06/24(土) 12:55:25
神林とキリカは佐久間のあるメモを発見し驚く。
そして捜査を進めるうちに、犯人が誰かを知る。
犯人は狩野だった。彼女はそれを認める。
学生の頃から狩野は佐久間の才能だけではなく、佐久間自身に惹かれていた。
だがいつでも佐久間にとって彼女は女ではなく、優秀なアドバイザーか
女関係がもめた時に冷静に対処してくれる便利屋でしかなかった。
それでも、佐久間は女を渡り歩くだけで本命を決めたりはしなかったし、
女扱いされない彼女はいつまでも佐久間のそばにいる事が出来るので
その立場に甘んじていた。佐久間のもとに女優が現れるまでは。
女優は本気で佐久間を愛し、自殺未遂までした事がある。
佐久間がスランプになったのも女優に出会ってからのようだった。
そして殺人のあった夜。ふっきれたような顔で佐久間は狩野の部屋を訪れた。
女優に会ってキツイ事を言われ、目が覚めたと佐久間は微笑みながら言う。
「書けそうな気がする。シリーズの最終話。英をどうしたらいいかやっとわかった……」
英は佐久間自身。迷いを捨てたのは佐久間自身。はじめて真正面から向き合ってきた女優を、
佐久間が本気で愛するようになり、結婚するつもりなのだろうと狩野は悟った。
そして自分のもとを離れるならと佐久間を自殺に見せかけ殺害したのだった。

泣きながら狩野に怒鳴るキリカ。佐久間が最後に書いたであろうメモを見せる。
『英遼二 秘書の阿部美冴を愛していたことに気づき結ばれる』
英は佐久間自身。そして、秘書の阿部美冴は狩野にイメージが似ていると神林は言う。
女優と話していて佐久間が気づいたのは、自分が本当は誰を愛していたのか、
そしていつでも傍にいてくれたのは誰だったのかという事だった。
それは狩野だ。佐久間は思いを伝えるためにあの夜狩野の家を訪れたのだった。
狩野は泣き崩れた。

 

ヒロインを探せ (花とゆめCOMICS 神林&キリカシリーズ 1)
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