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820 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/09/03(日) 14:06:38
平岩弓枝の御宿かわせみシリーズの中のエピソード

このシリーズそのものは江戸末期の市井の人たちや武士、同心達がいろんな事件の真相を追って、
出来るだけ温情をもって解決しようとする人情捕り物なんだけど、
時代背景としてたまにやり切れない結末になったりする。

その中の一つ
真冬のある日、主人公夫婦が経営している宿に、真夜中に男女連れの客が飛び込んできて、
女は大変美しいが、男の方は驚くような大男で顔全体を頭巾で覆っているので容貌は判らない。

宿の面々は、駆け落ちか何かを疑うものの、放ってはおけなく宿を提供・・
しかしただの駆け落ちではなさそうな二人の雰囲気に主人公は
友人の同心と共に、二人に関係がありそうな事件を調べる

その結果、女の方は、南蛮人専門の遊女(遊郭に生み捨てられた生まれながらの遊女)
男は遊女の相手だった南蛮人が連れていた黒人奴隷と判る

両方とも南蛮人に金で売り買いされてきて、人間として扱われず
地獄の様な毎日の中で、お互い言葉や人種、肌の色を超えて心を通わすようになるが、
あくまでも心の交流でお互い主人に対する裏切りはなかった、
しかし主人から不義密通を疑われて殺されそうになって主人を殺してここまで二人で逃げて来たのだった。


821 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/09/03(日) 14:07:46
続き2
主人公達は何とかこの二人の力になろうとするが、遊女と黒人の大男ではの逃げ切れるものではなく、
二人はとうに逃げ切る気はなくただ一夜、男と女として
初めて本当にお互いに結ばれる事だけが願いだった

主人公の宿に泊まれた事で二人は思いを遂げ、お礼に持っていた金子全てを宿に置いて、
二人は夜のうちに(自分達を泊めたことで主人公達に迷惑がかかるのを恐れて)抜け出した。

やがて主人公達は人が噂で
「いやぁ、すごいのなんのって、真夜中の海に真っ黒の大男が、女を背中に紐で背負って、飛び込みやがった!
 すげぇ勢いで月明かりの海を泳いでいる二つの頭が見えたけど、やがて沈んで見えなくなってしまった」

その海の向こうには奴隷が誘拐されて、南蛮船に乗せられ、奴隷にされるまでは、
幸福に住んでいただろう南国の故郷の島があったのだろう・・・って話だったよ

 

御宿かわせみ〈新装版〉 (一) (文春文庫)
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