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710 名前:紀ノ上一族 1/2 投稿日:2007/01/19(金) 11:12:18
久生十蘭 「紀ノ神一族」

舞台は昭和のはじめ。第二次大戦前。
九州地方を本拠とする紀ノ上(きのかみ)一族は
政府の勧めもあって新天地を夢見てアメリカに移住する。
紀ノ上一族の人々はアメリカの各地に散らばり、それぞれの土地で勤勉に働いて
アメリカの大地で一族を繁栄させようと頑張るが
現地のアメリカ人たちはイエロージャップに対する差別意識を剥き出しにして
ありとあらゆる方法で一族の生活を妨害し、
挙句には嘘で固めた罪で告発し、逮捕し、乱暴な裁判で死刑に追いやる。
移住先の知事やら裁判官やら警察やらがみんな日本人を大嫌いで
紀ノ上一族は孤立無援状態。一族内で結束して励ましあうしかない。
しかしアメリカ人たちの執拗な迫害は続き
ある時は一家まるごと追い詰められて銃殺されたり
事故に見せかけて殺されたり、劣悪な環境の砂漠に置き去りにされたりして
どんどん数をへらしていく。
やがてついに、紀ノ上一族は最後の一人を残すのみとなった時、
いままで紀ノ上一族迫害の先頭に立っていた州知事が、和解を申し込んでくる。
(紀ノ上一族はアメリカに対して反逆の意思を持っている不良移民だ、
 みたいなレッテルが貼られていて、そんなのは嘘だ、と声を上げ続けていた一族と州知事は
 社会的にもおおっぴらに対立関係にあった)
和解、といっても、今まで紀ノ上一族がアメリカに対して行った罪を認めて(全部でっちあげ)


711 名前:紀ノ上一族 2/2 投稿日:2007/01/19(金) 11:12:54
アメリカ国民の前で潔く謝罪し、自らの手でその最後の血を断ち切って見せる、という
用は公開謝罪・自殺の要請であった。
州知事の申し入れを受けた紀ノ上の生き残りは、
紀ノ上一族大量虐殺のあった砂漠を謝罪の地とすることを条件にこれを承諾する。
しかし調印の日、自殺用のピストルを手渡す知事に彼は握手を求め、
これに応じた知事の腕を捕まえると、渾身の力でその腕をひしぎ、ねじ上げて
ついに骨折せしめる。
痛みと屈辱に逆上した知事は彼の手からピストルを奪って彼を射殺する。
撃たれて死にゆく彼は、屈辱に歪む知事の顔を見て満足そうに笑った。
「おれたち紀ノ上の人間は、最後の一人まで残らずアメリカ人に殺されたんだ。
 おれたちには罪なんか何もない、おれたちを殺した罪は全てアメリカ人たちにある。
 おれは自殺なんかしない。自分の罪なんか認める気はないからだ。
 アメリカ人の手によって殺されることが、おれのアメリカに対する復讐だ」
…そうしてアメリカに移住した紀ノ上一族はすべて絶えたのである。

715 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/01/19(金) 12:24:00
これスケール小さくしたらアメリカ人の気持ちもわかるな。
自分の家に他人が転がり込んできて住み込んだら、
どれだけそいつらがいいやつでも
出て行って自分の家で住めよ!と思うだろうな。

ってかそういう事件あったな。
どっかの家族が家に住み着いて、最後は住人が追い出される。
日本の場合は自分が追い出されて終わるんだな。


717 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/01/19(金) 12:29:39
>>715
ネイティブの人がそういうならまだ理解でいなくも無いが
この話の場合、日本人を追い出そうとしてるのは移民してきた白人っぽいね。

718 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/01/19(金) 12:54:05
>715
安部公房の「闖入者」だっけ そのままの話 最後は自分が殺されて終わるんだっけ

 

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