灯のうるむ頃 (遠藤周作)

442 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/03/08(木) 22:38:46
遠藤周作の話なので、読んだこともある人は結構いるかもしれませんが…
この人は庶民が嫌いなのだろうか、居た堪れない話が多い。

443 名前:灯のうるむ頃 1 投稿日:2007/03/08(木) 22:39:51
町医者の同年代の主要人物が、町医者S・K教授(K助手)・Kの妻
町医者の息子の同年代の主要人物が、息子・友人Y・女学生R

医者を志してる青年Sは、ある時清楚な女性に恋をした。
女性の住んでいる場所からして、自分の手の届くような身分ではないらしい。

のちに医学部生として、R病院の嫌味なK助手のもと勉強することとなる。
しばらくして、その女性とK助手が付き合っていることを知る。
誰もがうらやむような二人を遠目に、自分は思いを伝えることなく身を引くこととなる。

月日は30年程流れ、Sは小さな町医者になり、妻と息子娘と暮らしている。
そして、町医者をしながら癌の研究を細々と続けている。
ある時、バイトが研究の為に頼んだ二十日ネズミと違う、大型のネズミを飼ってくる。
そしてそのバイトが大型のネズミ可愛さに、昔癌に効くかもという逸話のあったエキス入りの茶を
こっそり飲ませたことにより、大型のネズミに植えたはずの癌が小さくなったことに気づく。
もしかしたらと思い、その薬の研究に精を出すこととなる。

Sの息子は東大志願の浪人生で、あまりやる気の無い生活をしている。
ある時喧嘩をしてしまい、ボロボロの状態で歩いていると、
清楚な女学生が手当てにとハンカチを貸してくれる。そして一目惚れしてしまう。

そして、ある時Yが金持ちのパーティーに行った時、とある女性Rに恋をする。
Yに仲良くなる為に協力してくれと言われ、調べていった結果、同じ女性Rであることに気づいてしまう。

息子はYの為に自分は身を引き、Yに協力することにしてしまう。
なんとかRを誘い出し、Yの考えたプランで3人でデートすることになるが、
ゲテモノ食堂に行った時にRが怒り出してしまい、店を選んだのは息子ということにされてしまい、
Rから嫌われてしまい、そのフォローに回った友人Yは逆にRと仲良くなる。


444 名前:灯のうるむ頃 2 投稿日:2007/03/08(木) 22:40:25
町医者Sは、自分の病院の患者が癌であることに気づく。
患者には小さな娘がいるが、春には患者が亡くなってしまうだろうという事実が気の毒でたまらない。
ある時患者の様態が悪くなり、ネズミに使った薬を試すことを決心する。
知り合いの研究者に薬(とある菌)の培養を頼み、培養が成功し、実験的に患者に投与していく。
患者は十日目あたりから症状が軽くなり、どんどん回復していく。
その頃別の癌の疑いのある患者にやはり投与してみて、同じように回復していく様を見ることとなる。

ある時女学生Rが、父と母の会話を聞いてしまい、父が癌に侵されていることを知ってしまう。
女学生の父は今はR大学病院の教授となっているKであった。そして母は町医者の憧れていた女性だった。
女学生Rは父をなんとか助けたいと思い、友人Yに頼る。
Yは噂で聞いた町医者Sの癌の特効薬を息子に貰ってくるように頼む。

父である町医者Sは、息子がかつてのK教授と女性の娘と関わりがあることを知る。
そしてK教授が癌であること知ってしまう。助けたい気持ちもあるがちょっとした優越感もあり、薬を渡す気は無い。
薬を渡したところで学会でも発表できる代物ではない薬をK教授が進んで使うとも思えない。
案の定、K教授は娘Rから聞かされた薬の話は突っぱねることとなる。


445 名前:灯のうるむ頃 3 最後 投稿日:2007/03/08(木) 22:42:00
しかし娘Rから話を聞いた母は、何とか救いを求めて、町医者を訪ねる。
かつての女性は町医者を覚えていることも無く、町医者もK教授が使うはずの無い薬を差し出す事も出来ない。
しかし今度は娘Rがやってきて、とうとう薬をあたえてしまう。
母と娘の計らいで、内密に薬は投与され、結果K教授の癌は治ることとなる。

そのうち、町医者の知り合いの伝で雑誌記者が薬に興味を持ち、薬を学会で発表させるために
実験の協力体制を作らせようと町医者に協力してくる。
その為の発表の場が開かれたが、町医者はK教授を含めた大学教授にボロクソに打ちのめされる。
その場でK教授は自分も癌だったかもしれなく、家族にそんな薬を投与するようにほのめかされたが、
結局そんな訳のわからない薬を使うことは研究者として拒否した、
そして使わずに済んで、癌の可能性も消え安心している。やはり不確かなものは信用できない、と叱咤された。

意気消沈したその頃、息子は東大受験に取り組んでいた。
そして一次が受かり、二次はいけるだろう、という自信のもと、月日は流れ、発表の日となる。
結果は、落ちていた。友人Yは、女学生Rとともにアメリカに留学し、幸せな雰囲気の中にいる。

父と息子は一緒に銭湯へ行き、平凡な生活を送る人生ということを実感する。

・・・父も息子も余裕で成り上がりフラグがあったのに、ことごとく無視されまくって、
挙句なんの救いも無しって…


446 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/03/08(木) 23:12:44
うう、要約でもちょっと重い気持ちになるからオリジナルは読むの辛そうだな。
でもこういう話、結構好きだ。

447 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/03/08(木) 23:15:40
とりあえず息子はただのボンクラ息子としか思えん
父ちゃんも薬を隠すんならずっと隠しとけばよかったのに

448 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/03/08(木) 23:36:39
時々省略してすみませんが、同じアルファベットなら同一人物です。
確かに父も息子も人が良いだけのボケーっとしたタイプっぽいです。
だから逆にどっかでそんな人が大逆転とかあり得るのかなあ…と思ってたんですが、
そのままでしたw

453 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/03/09(金) 00:26:42
乙。
ひたすら報われない話は後味悪い…。

 

灯のうるむ頃 (角川文庫 緑 245-17)
灯のうるむ頃
(角川文庫)