南京の基督(芥川龍之介)
-
521 名前:南京の基督 1/2 投稿日:2007/06/07(木) 02:38:11
- 芥川龍之介「南京の基督」
舞台は中国。
主人公の金花は15歳。幼い頃洗礼を受け、キリスト教徒となった。
父を養うため、娼婦として生活している。
少女は気だてが良く、神を信じる故に純粋だった。ある日、少女は身体の異変に気付く。
どうやら梅毒に掛かってしまった様だ。
身体には薄い紅色の斑点が浮かび、まるで梅の花の様に見える。
友人は言う。「誰かにうつせば治るんだって」
だが金花は「キリストの教え」を尊ぶあまり、客を取る事をやめた。ある日、少女の元に混血の男が尋ねて来る。
男は酔っぱらい、少女を買おうとする。断るも言葉が通じず、少女は戸惑う。
その時ふと、壁に飾ってあった十字架(受難のキリスト)が床に落ちた。
その十字架を見て、金花は「この男はキリストに似ている」と思う。
金花は男をキリストだと信じた。少女は男に身を委ね、抱かれる。夢の中で金花はご馳走を食べている。
食べきれない程の豪華な食事と、美しい部屋。
そこにキリストに良く似た男が居た。
「あなたは食べないのですか」と聞く金花に
男は微笑み「お前がお食べ。食べると病気が治るよ」と言う。目を覚ますと、男の姿は既に無かった。
あれは夢だったのか、それとも、と金花は考える。男が去った後、金花の身体から梅の花の様な発疹が消え去っていた。
金花は男が本当のキリストだった、奇跡が起こったのだ、と喜び、男と神に感謝する。
-
522 名前:南京の基督 2/2 投稿日:2007/06/07(木) 02:39:13
- その話を聞いていた、金花の客である日本人はその男に心当たりがあった。
アメリカ人と日本人の混血である彼は、あまり素行のいい男ではなかった。
以前キリストを信奉している娼婦と一夜を共にして、
朝方こっそりと逃げ出した事を自慢げに語っていた。
彼はその後、梅毒にかかり、ついには発狂してしまった。
日本人の男はこの事実を告げるべきか悩む。男は金花に尋ねる。「それから病はすっかり消えたのか」
少女は晴れ晴れとした顔できっぱりと「ええ」と答えた。…と言う美しいお話なのだが、金花の梅毒は勿論、治ってない。
作品の中では確かに奇跡が起こった(と金花は信じている)が
作者の芥川自信は「キリストも居ないし奇跡も無い」と思ている節がある。誰かがこの作品について「安っぽいんだよ、バーカ」みたいな批判をして
芥川自身も「金花は結局救われてないけど、小説だしいいんだよボケ」
みたいな返しをしていた様な気がするのだが、残念ながら本が手元に無く、
ソースを出せない、ごめんなさい。
-
528 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/06/07(木) 06:21:06
- >>521-522
芥川の話ってそういうテイストが多いよね
-
529 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/06/07(木) 08:16:30
- >>521
映画版を観たけど背中の病班が妙に綺麗(鮮やかで規則的で孔雀みたいだった)で却って恐ろしかった!
人間の血を飲めば治るという話を聞いた娼婦が処刑場に行って、
殺されたばかりの囚人の血をパンに染み込ませてかぶりついてるエピソードとかエグかったよ
あとなぜか中国人娼婦を富田靖子が、日本人客を中国人俳優が演じてたのがわけわからんかった
-
530 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/06/07(木) 10:03:11
- >>529
逆だと中国人が怒るんじゃない?
最近、なんの映画化は憶えていないけど別の映画でそういう話を聞いた。
-
544 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/06/07(木) 16:10:42
- >>529
映画は見た事が無いのだけど、たしかにありましたねw
富田靖子は可愛く映っていた気がするけど、15歳はねえだろ!と思った。
でもググったら映画は「南京の基督」と別作品を混ぜてあるそうで…。>あとなぜか中国人娼婦を富田靖子が、日本人客を中国人俳優が演じてたのがわけわからんかった
これは日本と香港の合作映画だったから仕方ないのかも。
>>530みたいな事情もあるのかな。
しかし原作では客は混血の男となっているのに、何故日本人にしたんだろう?
日本人がキリストに似ていると言う設定は無理がある様な…。
映画ではその辺、気にならなくなってるんでしょうか。今度見てみる。映画自体の評価は高いみたいだし。
ちなみに南京の基督はネット上でも読めるみたいなので、
興味のある方はどうぞ。
ttp://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/105_15146.html
-
547 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/06/07(木) 17:23:43
- >>544
いいえ、「日本人客」とは原作の通り最初と最後で娼婦と話をする人物のことです
映画版では彼の日本での生活(妻子あり)が描写されたり病気を知りながら娼婦とセックスしてしまったり、
娼婦の死までがはっきり描かれていてとても後味悪く悲劇的でした娼婦が基督と思い込んで病気をうつした人物は、映画版では混血というよりはっきりと西洋人とわかる配役でした
-
549 名前:本当にあった怖い名無し 稿日:2007/06/07(木) 17:58:31
- >>547
親切にありがとう。そう言う事だったんですね。
俄然興味が出たので、レンタルしてみたいと思います。すごく短い小説なのに余韻が残るのは芥川故ですかねー。