ホーム » スレ別 » 後味の悪い話 その77 » 砂漠蛙(明智抄)

76 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/09/11(火) 23:06:06
後味っていうか切ない系だけど 明智抄 「砂漠蛙」

ある女が、水汲みの帰り道で水溜りを見つけた。
乾季なのに、まだ蛙になりきれないおたまじゃくしがうごめいていた。
優しい女は持っていた水を足してやり、次の日からも毎日水を足してやった。
「私が子供を産んで通えなくなるまでには蛙になるんだよ」女は身ごもっていた。
月満ちて女は女の子を産んだ。季節はずれの雨が降って、女は蛙たちも大丈夫だと喜んだ。

女はその娘・シズクと幸せに暮らしていた。
ところがある日、村は戦乱に巻き込まれた。女はシズクを逃がしたが、矢に射抜かれて死んでしまう。
シズクは山の中を彷徨っている所を兵士に保護され、別の町の家に子守として雇われた。
シズクを引き取った家の奥方は、自分の娘チェチェロには非常に過保護で、シズクには辛く当たった。
チェチェロもまた大変我侭な娘だった。

ある日、シズクとチェチェロの前に、陽気に踊る不思議な蛙が現れた。
実はこの蛙はシズクの母の生まれ変わりだった。
蛙たちを助けてくれたお礼に、99年生きて神通力を得た蛙が、蛙に限って五度の命を授けてくれたのだ。
母は蛙の姿でなんとかシズクの手伝いをしようとしていた。
だが、チェチェロは面白がって蛙を握りつぶしてしまう。

次に母蛙が転生してシズクを見ると、シズクは片足をなくしていた。
チェチェロが川に落ちた責任を取らされて、奥方に片足を切られてしまったのだ。
「川に行かないで。また足を切られちゃうし、今度は助けてあげられないのよ」
シズクは懇願するが、チェチェロはシズクがびっこを引いているのが面白い、
両脚がなくなればもっと面白い?と残酷なことをいう。
母蛙はまた踊りで気を引くが、今度は鳥に食われてしまう。

三度おたまじゃくしになった母がシズクを心配していると、やつれ果てたシズクが水辺にやってきた。
そして水を飲もうと水面に近づき…そのまま事切れてしまった。
シズクは両脚をなくしていた。その傷が元でシズクは衰弱してしまっていた。
奥方はほんの僅かなチェチェロの怪我を責めてシズクの足を切ってしまったのだ。
奥方はろくな弔いもせず、行き倒れ用の穴にシズクの遺体を放り込むように言う。


77 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/09/11(火) 23:07:02
母蛙が生きる意味は無くなってしまった。
だが、もう生きたくないと食も絶ったのに、おたまじゃくしから蛙へ成長していく。
その頃、川では魚が次々と死に始めていた。
母蛙は鳥に攫われ、これで死ねると思った。
ところが、母蛙をくわえた鳥が突然苦しみだして死んでしまう。
母蛙の悲しみと絶望はいつしか強力な毒になっていた。

蛙の毒は謎の奇病とされ、町は封鎖されようとしていた。
奥方が兵士に文句を言っている側で、チェチェロは母蛙を見つけて踏み潰した。
チェチェロは足から毒で腐り、死んでしまった。
驚いて逃げようとした奥方も蛙をふんでしまい、同じように苦しみ悶えて死んだ。

毒は広がり、人々は生活に困り始めた。母蛙が原因と知った人間は母蛙を矢で撃つが、蛙は死ねない。
もっと沢山の武器があるところなら死ねると、母蛙は戦争をしているところに出現するようになった。
巨大になった母蛙はどんな武器でも死ねず、周りの生き物だけが死んでいった。

地上の4/5が砂漠になった頃、国同士はようやく戦争をやめることにした。
母蛙は地中で眠りにつき、人々は平和の神として蛙の像を建てた。
母蛙が人間として死んで900年たったころ、あの神通力を持った仙人蛙は新たな力を手に入れた。
仙人蛙はただ女に恩返ししたかっただけだったのに、未熟だったばかりにこんなことになってしまって…と、
母蛙の絶望と苦しみを全ておたまじゃくしに変えた。おたまじゃくしが蛙になり大地を歩くと、
毒が消えそこから緑が芽生えた。

こうして人間と蛙は再び栄えた。
人間は栄え、そしてまた戦争をした。

千年後、今度は蛙も人も残らなかった。


78 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/09/11(火) 23:15:55
切ないも後味の悪いうちだからおk
どちらかというと主にチェチェロたちに対して嫌な気分になったからそっち方面の後味の悪さを感じたが

明智抄って名前だけは聞いた事あるけど読んだ事はない。
その話面白そうだから今度読んでみる。

 

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