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901 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/12/12(水) 02:35:14
岩井志麻子 「密告函」

明治の頃、全国的にコレラが大流行し、多数の死者を出した。
主人公の男は岡山の外れの村役場の小役人で、
できた妻を持ち、子供もいて、満ち足りた生活をしていた。
平穏な村にもコレラがやってくる。
同時に、コレラを払うという怪しげな祈祷師の一家も流れてくる。
共同体全体に、不安の風が吹き荒れていた。
祈祷師の娘は非常に艶かしく、淫らで、村の多くの男と通じ、女衆に疎まれていた。
役場の上司も関係を持っていることは周知の事実であった。

ある日、上司は体調を崩し、コレラに罹っていると分かる。
周りは、娘との関係をうまく精算しなかったため呪われたのだと噂する。
上司は復調することなく、息を引き取った。
上司の遺言で、コレラに感染している疑いのある者を密告するための密告函が設けられ、
ペーペーの主人公にその函が任されることになる。


902 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/12/12(水) 02:35:52
生まれ育った村の、顔見知りの家に密告を理由に踏み込んでいく。
当時は隔離病院では血を抜くだとか恐ろしい噂が信じられており、
主人公は恨みの矢面に立たされることになる。妻は主人公をよく支え、
感染の予防のために衛生面に気を遣い、食事も雑炊、粥などの煮物に変えた。
だが視察先での狂人や腐乱死体との遭遇を経て、主人公は徐々に心を蝕まれていく。

同僚達は手を貸す素振りも見せず、ついにやけになった主人公は、
視察に出る振りをして、祈祷師の娘と関係を持つ。完全に魅了され、
貯金を貢ぎ、妻に辛く当たるようになる。

密告函への投書に、祈祷師の娘はよく登場した。
大勢の女に恨まれているのだから、当然だ。
だがある日、妻の字に良く似た筆跡で書かれたものを見つけ、
主人公は自分の密通が露見しているのではと狼狽する。
それから程なく、祈祷師の家が深夜に火事に見舞われ、一家そろって命を落とす。
現場から怪しい女が立ち去ったとの目撃談があり、もしや妻では……と恐怖を覚えるが、
娘は多くの女に恨みをかっていたので、そのうち、うやむやになった。

夏がきてコレラの流行も収まり、頑強な主人公だけは食事を通常のものに戻した頃、
密告函を撤去するという話が持ち上がる。
最後の投書を読み、視察のために役場を出ると、妻が川で魚を捕っていた。
その川は先日、コレラ患者を出した家のすぐ下流であった。
「おーい、そんなとこの魚、あぶないぞ」
呼びかけようとして、咄嗟に飲み込む。妻は怪しい微笑を浮かべていた。


911 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/12/12(水) 13:21:01
>>901
岩井志麻子は後味悪い話がおおいよね。
村社会の閉塞感というか、泥沼の中に静かにのめり込んで行く様な、
なんともいえない気分にさせられるから、
覚悟を決めてから読んでいるよ。

坂口安吾もこのスレ向きの後味悪い話が多いような。
というか、短編集読んでいてうんざりしてきた。
おどおど系の口下手男が、
まんまと嵌められて、無実の罪で追い詰められてゆく話が多い。

 

ぼっけえ、きょうてえ (角川ホラー文庫)
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