寝敷き(松本清張)

658 名前:松本清張「寝敷き」1 :2008/08/06(水) 16:51:08
男は若いペンキ屋。身体が不自由になった父の跡を継ぎ、仕事は割と繁盛している。
男には密かな楽しみがあった。
高いところで作業をするため、他人の情事を覗き見ることがあるのだ。
昂ぶりを風俗で発散させたり自分でおさめたり、睡眠薬で紛らわせたりする日々、
覗き話を職人仲間でしているうちに、その種類の話に食いついてくる女がいることを知る。
やがて猥談をコマのひとつに仕事先で女を食うようになる男。
映画館主の女房もそのひとりだった。
情事は二度だけだったが、その家に下宿していた姪に目撃されてしまう。
仕事を終え、女房とも切れたあと、姪と関係を持つ男。
姪もまた叔母と彼の情交の痕跡に興奮を覚えていたのだった。

659 名前:松本清張「寝敷き」2 :2008/08/06(水) 16:52:03
しかしこの姪は、時が経つとうっとうしいタイプの女だということがわかる。
最初のうちこそ処女の初々しさが新鮮だったものの、仕事先にまで現れて男を監視するようになると
人妻との割り切った関係に慣れた男には次第に苛立ちがつのっていった。
男には遠縁の娘との縁談が持ち上がっていた。
結婚すれば経営に援助もしようという話で、男も乗り気だった。
何も知らない姪はますます執拗になり、男は不眠に悩まされて再び睡眠薬を飲むようになっていた。

縁談が具体的になってきたこともあり、男は姪に別れを告げる。
逆上する姪は、別れるなら叔母とのことを叔父に告げると口走る。
興行師である叔父の報復を恐れる男に、姪はさらに追い打ちをかける。
妊娠した、と。

男は姪を殺す決意をする。
幸い、睡眠薬を何度も飲んでいる間の経験から、自分がコーヒーを大量に飲むと
薬がほとんど効かない体質だとわかっている。これを利用するのだ。
姪に、結婚を決意したと言い、温泉旅行に誘う。泣いて喜ぶ姪。
温泉地で男は足を止めてはコーヒーを飲む。
その夜、宿で男は姪に、子供を丈夫にする薬だと言って睡眠薬を飲ませる。
疑わずに飲み干した姪の隣に、男は同量の薬を飲んで横たわった。


660 名前:松本清張「寝敷き」3 :2008/08/06(水) 16:52:52
男の思惑通り、姪は死亡した。男は生き残り、無理心中に失敗したとして事件は処置された。
司法解剖で姪は妊娠していなかったことがわかったが、すべてはすんだことだ。
男は予定通り遠縁の女と結婚する。
結婚の知らせを小耳に挟んだ当時の担当刑事は釈然としない。
嫌な印象を胸に帰宅すると、修学旅行前夜の自分の娘が寝押し(寝敷き)を
しているのが目に入る。
そういえばあの「無理心中」で死んだ女も、布団の下にスカートを敷いていた・・・
あれは翌日身につけるためではなかったか。
女は死ぬつもりはなく、男による殺人だったのでは、と思いつく。
翌日、上司に自分の考えを打ち明ける担当刑事。上司も関心を示した。
すわ再捜査か・・・と思われたが、調べ物を始めた上司はやはり無理だという。
示された資料には、「死後、形見分けのためにスカートを寝押しして自死した女がいた」とあった。
うなだれる刑事。
たったひとつの前例が、男の犯罪をまんまと覆い隠したのだった。

661 名前:本当にあった怖い名無し :2008/08/06(水) 17:19:44
無理心中するような男と
なんで遠縁の娘は結婚したんだろうな

663 名前:本当にあった怖い名無し :2008/08/06(水) 17:26:45
って言うか
死体の下に敷かれてた洋服なんか
形見に貰っても気持ち悪いよなあ
少なくとも俺は無理だ 貰えない

664 名前:本当にあった怖い名無し :2008/08/06(水) 18:00:02
>>660
男が書いた小説だなあ。
次の日に死ぬとわかっていても、
肌の手入れするのが女だと思う。

667 名前:本当にあった怖い名無し :2008/08/06(水) 18:23:54
>>664
肌の手入れや死化粧はするだろうが
明日以降着る予定もない服を自分が死ぬ布団の下で寝押しするのは
やっぱ不自然だろ
それこそ形見分け予定ならともかく

668 名前:本当にあった怖い名無し :2008/08/06(水) 18:35:47
>>667
姉の友人が飛び込み自殺したんだが
当日は普通に仕事にいき、仕事が終わったら制服をクリーニングに出し
化粧をなおして家に帰る途中で飛び込んだよ
遺書もあって一ヶ月ほど前からこっそり身辺整理していたそうだ
ただの習慣でクリーニングに出したのか、それとも何か別の意図があるのかはわからん

 

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