ホーム » 小説 » 小説/か行 » コドモノクニ(朱川湊人)

588 名前:1/5 :2009/02/19(木) 19:11:13
前にこのスレで読んだけど、朱川湊人の「コドモノクニ」

四季にあわせたタイトルの、4編の子どもの短編集。
どの子も小学生くらいの話。
一番後味が悪いのは最後の話だけど、せっかくなので全部書いておく。
うろおぼえなのでかなり想像で補完しています。

『ゆきおんな』
雪国に住むA子には、母親がいなかった。
生まれたばかりのA子をおいて、東京へいってしまったという。
それを聞いたA子は、
「母ちゃんは雪女なんだ!父ちゃんに正体がばれたから出て行ったんだ!」
と信じるようになる。

ある雪の日。下校中のA子は、吹雪の中に佇む一人の女性を見つける。
ほっそりしていて儚げで、A子が想像していた雪女の母親そのものだった。
A子が近づいていくと、その女性は踵を返して去っていく。
「母ちゃん、待って!迎えに来てくれたんでしょう!?」と必死に追いかけるA子。
吹雪はますます強くなっていく…


589 名前:2/5 :2009/02/19(木) 19:11:52
『いっすんぼうし』
B男は、お小遣いを貯めてずっと欲しかった文房具を買いに行く。
しかし、店主が見ていない隙につい出来心で万引きをしてしまう。
どきどきしながら店を出るときに、店主に万引きを見咎められて
「ごめんなさい!」と謝り、盗んだ商品と代金を渡して走って逃げた。

家に帰ったB男は考える。
あの文房具屋は学校用品を扱う店なので、母親の顔も知られている。
自分が万引きしたことはすぐに店主から母親に話が行くだろう…
そうなったらきっと、ひどく叱られるに違いない。

いっそどこかに隠れてしまいたいが、家の中は狭くて隠れる場所がない。
寝具の隙間に隠れようとするが、B男の体はほとんどはみ出してしまう。
そこへ母親が帰宅し、B男を呼ぶ声がした。
「B男、いるの?さっき文房具屋へ行ったんだけど、あんた…」
どうか神様助けてください!
B男が願いながら必死で体を押し込んだ瞬間、体がどんどん縮んでいき
寝具の隙間に隠れることができた。
が、体はまだ縮んでいく…

「お金を払って、買ったものを忘れてきたんだって?あら、いないわね」
母親の声がした。


590 名前:3/5 :2009/02/19(木) 19:12:51
『くらげのおつかい』
両親の仕事が忙しいため、夏休みを海辺の祖父母の家ですごしたC男。
明日はいよいよ自分の家に帰るという日の夕方
この町でできた友人に別れを告げるため、C男は家を出た。

友人の家に行く途中、海が見たくなったC男は浜へ降りていく。
岩場の陰に、透明でぐにゃぐにゃとした不思議な物体が流れ着いているのに気づき
C男は興味を持って近づいていった。

棒でつついたり、お菓子を投げ込んでみたりと
いろいろやって遊んでいたところ、
突然その物体が膨れ上がり、C男を飲み込んでしまった…


591 名前:4/5 :2009/02/19(木) 19:13:56
『かぐやひめ』
D子は父親に会うために、町を歩いていた。
電車に乗っているときは気にならなかったが、歩き始めると服で擦れて胸が痛い。

D子の両親は離婚していた。
水商売をしていた母親が、客と恋に落ちてしまったのだ。
幼い弟は父親に引き取られた。
父はD子も引き取りたいといったが、D子は母親についていくことを選んだ。
新しい父親はお金持ちで、何でも好きなものを買ってくれる。
それに娘が欲しいといっていたから可愛がってくれるだろう、と母親から聞いたのだ。

母親の元へ行った後も、D子はときどき父親や弟と会っていた。
父と弟が暮らす狭いアパートで、
父親は「やっぱりこちらへ来る気はないか」と何度も訊いた。
そのときは貧乏暮らしが嫌で断ったが、今は…。

ようやく父親のアパートにたどり着いたが、ドアには鍵がかかっていた。
ドアの前で待つのも恥ずかしくて、
D子はアパートが見える、別のアパートの入り口で座って待つことにした。

父親と弟を待ちながら、D子は昨日の夜のことを思い出す。
胸が痛い。
新しい父親は確かに自分を可愛がってくれた。
欲しいものも買ってくれたし習い事もさせてくれた。
しかし昨晩、新しい父は自分のベッドの中に入ってきたのだ。
D子が途中で拒むと、「母さんには内緒だぞ」と言って部屋を出て行ったが
新しい父が舐めた自分の胸がとても汚く思えた。
少しでも消毒したくて、自分でベンジンを振りかけたところ、
今朝になったら真っ赤に腫れていた。


592 名前:5/5 :2009/02/19(木) 19:16:31
夜になって月が昇ったころ、ようやく父と弟が帰ってきた。
弟のはしゃぐ声に、アパートの入り口を見ると
弟が知らない女の人と手をつないで、「お母さん!」と呼んでいるのが見えた。

お父さん、再婚していたんだ。知らなかった…。

そのまま部屋に入る3人を見た後、D子は一人で立ちあがり
泣きながら知らない町をとぼとぼ歩いていった。
その横へ一台の車が停まり、男が顔を出す。
「どうしたの?よかったら乗りなよ」
誰も頼れずに心細いD子は、優しい言葉で誘われるままに車に乗り込んだ…

こどもたちは、だれひとり戻ってきませんでした。

おわり。
よく分からない話の3人に比べ、
D子だけが妙にリアルな話で描写も細かく後味が悪かった。
自分の胸にベンジン振りかけずにいられなかったD子カワイソス…

 

いっぺんさん (文春文庫)
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