ホーム » 小説 » その他書籍 » The Cultural Ecology of India’s Sacred Cattle(マーヴィン・ハリス)

770 名前:1/2 :2009/06/05(金) 19:46:34
マーヴィン・ハリスの『インドの聖なる牛に関する文化的エコロジー』

インドと言えば牛。
「世界の車窓から」でも定員オーバーってレベルじゃない列車を目を細めて見守ってるのは牛。
旅行番組でもなにかってーと少年と歩く牛とか道路の脇で和んでる牛とか。
ミステリーハンターのお姉ちゃんも
「ここインドでは、牛は神様の乗り物として非常に大切に扱われています!それではその牛からの出題です!」
みたいに牛牛言う。インドの牧歌的雰囲気と神秘性を象徴するのはもう牛しかない、みたいな。
ヒンドゥーとカーストはちょっとマズイから、とりあえず牛、みたいなところがある。

ハリスは一種タブーとされていた牛と神秘性の問題を統計と生態系の側面から徹底的に調べた。

インドの牛の数はアメリカ、カナダと比べ面積あたりでは突出しているが、
人口あたりでは最も低く、トラクターの導入が遅れておりモンスーンに合わせての一期作しか行われないので
貸し借りのできない労働力としての牛は三分の一の農家で不足している。
農期以外は牛は牧草地もないのに「放牧」される。労働に従事している時も、
インド人の蓄積された知恵により必要最低限の食料しか与えられない。
インドの放牧では一切の手間をかけず、牛たちを飢餓状態のまま放置し、多くが命を落とすことになる。
管理農業と異なり、妊娠、出産は運を天にまかせることになる。
彼らの再生産は専門家でも成否を判断しかねる過酷さの中にある。
無事に生まれることは稀であり、その可能性を維持するために一頭として無駄な牛はいない。
「牛を殺さない」といえば嘘になる。彼らは牛を「放棄」していることは認めても、
その「結果」に関しては受け入れようとしない。多くの子牛は生きることを許されず餓死してゆく。
乳を出さなくなった老牛も屠殺者に売り飛ばされる例が確認されている。
「腐肉を食べるカースト」「皮産業に従事するカースト」の存在からもこれは分かる。

またインドでは毎年石炭4500万トン分の牛糞が安価なエネルギー源として使用されているし、
もちろん肥料としても用いられる。世界最大の皮産業も存在する。


771 名前:2/2 :2009/06/05(金) 19:47:36
インドの牛の過剰がヒンドゥーの教義と切り離されることのないまま
神秘的な価値観として一人歩きしているということに尽きる。実際は生活のあらゆる面で牛が必要なだけ。
なによりパキスタンの独立を阻む運動において、牛が政治的な象徴として扱われたことが大きい。
今の日本のマスコミに見られるように、インドにおいて自国を特徴づける物の中で
「牛」以外に他国の価値観的に当たり障りのないものが存在しなかった。
結論としてインドでは牛を殺すことに消極的なだけで、他のどこよりもあらゆる形で残酷に利用している。

以下、ガンジーの言葉
「なぜ牛が聖なる存在として選ばれたのか、わたしにはよくわかる。インドにおいて牛は最高の友である。
 我々に多くをもたらしてくれた。乳のみならず、農業を可能にしてくれたのも、彼らなのだ」
「雌牛はやせ衰え、最後の一滴まで絞り出される。子牛は乳を取り上げられ虐待され、牡牛は残酷に
 去勢され、打たれ、極限の労働に耐える……私は世界のどこにも、インドほど牛が不幸なところを知らない」

それでも今日もテレビでインドが紹介されれば、街中の野良牛が映し出され
「大事にされてるんですねー」
視聴者は
「いやあ、インドは牛にとって天国だね。のどかでいいところだ」
みたいにすりこまれつづける。政治的にも大いに利用される牛。


777 名前:本当にあった怖い名無し :2009/06/06(土) 00:22:39
牛にも宗教的価値観にも感情移入や思い入れないしなあ
へー、そうなんだって思うだけという
カーストもある国だしね

779 名前:本当にあった怖い名無し :2009/06/06(土) 00:30:50
>>770
ある意味、人間に必要とされることで種を維持できるって面もあるから良いんじゃないかな。
野良犬の末路の方が悲惨な気がする。

 

Environmental Anthropology: A Historical Reader (Wiley-Blackwell Anthologies in Social and Cultural Anthropology)
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in Social and Cultural Anthropology)
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