鬼平犯科帳/第4シリーズ第13話「老盗の夢」
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54 名前:本当にあった怖い名無し :2009/07/25(土) 06:41:37
- 私が鬼平で後味悪かったというか、ラストが何だかなぁ…と思ったのは、
往年の老盗賊が、寄る年波に勝てず、引退して故郷へ帰ることにした。
殺さず・女を犯さず・盗まれて難儀する者からは盗まずという盗めの三箇条を守る本格のお頭で、
盗賊の身でありながら畳の上で逝けるのは有難いことだと運命に感謝した。ところが、故郷で亡き女房と体型がそっくりなポッチャリの若い女と出会い、
年甲斐もなく色香に溺れる(相手は商売女だったかも?…うろ覚え)。
この爺さん、自分の母親も相撲小町と呼ばれるような美人で大柄な女だったので、
その影響から、いわゆるデブ専というか恰幅のいい女がメチャ好みだった。老後の蓄えで静かに隠居生活を送るつもりでいたが、若い女に溺れた爺さんは
人生最後に一花、女を引き取って余生を満喫したいという欲求に突き上げられる。
それには先立つ物が必要で、まとまった金を得るために再び江戸へ向かう。
そして手下の若い衆を集めて大店を襲う計画を立てるが、
今時の若い者はチンタラ本格の掟を守ったりはせず、爺さんを出し抜いて先に金を得ようと、
自分たちだけで畜生ばたらき(強盗殺人)で押し入ろうとする。
怒った爺さんは先回りして若い衆を止めようとするが、ドスで胸を刺され
最期の意識の中で故郷に待たせている女のことを頭に巡らせながら路端で絶命する。火盗改メが盗賊らを捕えた後、鬼平に仕えていた元盗賊の密偵は、
尊敬していた老盗の亡骸を発見し「引退したはずなのに、一体どうして江戸に舞い戻って…。
きっとよほど深い理由があったんだろうか…」と嘆き悲しむ。一方その頃、女は爺さんが出て行った後、とっととまた
金回りのよさそうな次のカモの爺さんを見つけて宜しくやってましたとさ。
分別があって品の良いご隠居さんって感じだったのに、
年をとって頭が弱くなってくると、独り身の寂しさやなんかも相まって
つまらない女にひょっこり騙される色惚けジジイになってしまうんだなぁ…って感じで、
老醜の描き方がなんかもの凄くリアルで容赦なくて人間の浅ましさを見た気分だった。
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55 名前:本当にあった怖い名無し :2009/07/25(土) 08:44:54
- うわあ…それって原作?
名前だけ知ってて単なる勧善懲悪の時代劇だと思ってたけど、
結構奥が深いんだなあ