ホーム » 小説 » 小説/は行 » 魄線奇譚(甲田学人)

669 名前:本当にあった怖い名無し :2009/09/02(水) 20:51:15
ラノベ作家の甲田学人が出したホラー小説「夜魔」より

主人公たち姉妹には幼馴染の少年がいた
三人は小学生の頃、よく「白線の上は安全地帯」とルールを作って遊んでいたのだが
そこに大型トラックが突っ込んできて少年だけが轢かれてしまう
彼は即死で、遺体は頭と胴体が千切れて酷い有様だった
惨劇を目の当たりにした姉妹……特に一番幼かった妹はそれがトラウマになり、
たびたびフラッシュバックを起こしてはパニック状態になる
そのため姉は「妹のことは自分が守る」と聊か過保護に成長していった

やがて高校生になった姉妹は同じ学校に進学する
この頃には妹の症状も大分落ち着いていて、パニックを起こす事も珍しくなっていた
ある日、二人は件の事故現場である交差点を通りかかる
すると中学生ぐらいの少女が一人、道路の不自然な場所にしゃがみ込んでいた

初めは特に気に留めなかった二人だが、そこは少年が轢かれた場所だった
更に中学生の体勢が、ちょうど子供に語りかけているようだと気付き、戦慄する
思わず激昂して詰め寄る姉
しかし中学生はきょとんとして、さも当然のように男の子が居たのだと語る
「彼はずっこここに『いる』んだよ」
そう言われた瞬間、通り過ぎていく車の合間に子供の脚が見えた気がした

その日以来、二人はあらゆる場所で少年の存在を感じはじめる
(この辺いまいちうろ覚えなんで省略。確か妹がパニック再発したりする)
終いには夜になると毎晩、家の前の道路に首のない少年が立つようになった
二人はカーテンの隙間からその様子を窺うことしかできず、心身共に疲れ果てていく
しかし、何日経っても少年の霊は道路に立っているだけで動く様子がない
そこで姉は気がつく
少年は「安全地帯」である白線の上にしか存在できないのではないかと


670 名前:本当にあった怖い名無し :2009/09/02(水) 20:52:07
「私たち助かったんだ」喜びながら意気揚々と帰宅する二人
そこで彼女たちが見たものは、子供がらくがきしたと思しきチョークの白線が、
道路から自宅の門まで繋がっていた光景だった
折りしも日が暮れつつある…
家には母が居るから大丈夫だと二人は互いを励まし合い、恐る恐る玄関を開けた
中は妙に静かだが、特に異変は感じられない

ほっとして姉が玄関に足を踏み入れた瞬間、
奥からけたたましい足音を立てて首のない少年が階段を駆け下りて来た
それを見た妹は半狂乱になってその場から逃げ出す
姉もそれを追いかけようとするが、少年が縋りつくように服を掴んでいて動けない
妹が門から道路へと出た瞬間、大きなクラクションが辺りに響き渡り――

事故の報告を受けて駆けつけた救急隊員が見た光景は、どこか妙なものだった
現場には事故を起こしたと思わしきトラックとその運転手が居たが、
野次馬はそちらではなく、トラックから少し離れた道路の隅に集まっている
救急隊員が野次馬をかきわけて中心部へ向かうと、
道路には何かを引き摺ったような赤い跡がついている

更に奥へ進むと、そこには制服姿の少女が一人座り込んでいた
困った様子で話しかけている警察官の言葉など全く意に介さず、
彼女――姉は、千切れた妹の首を抱きしめて語りかける

「大丈夫だよ……白線の上は『安全地帯』だから。
 ここに居れば、死なないから……」

 

夜魔―怪 (メディアワークス文庫)
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