ホーム » 小説 » 小説/か行 » 彼女が輪廻を止める理由(西澤保彦)

837 名前:本当にあった怖い名無し :2009/09/30(水) 20:42:52
チョーモンインシリーズっていう、超能力者が密かに存在する世界で、
超能力者が起こした事件をロジカルに解決していこうというシリーズ小説のうちの一つ。

主人公の女性は、知人男性のつてで、彼の起こした会社でアルバイトをしている。
小さな会社にはその知人の他にも社員A・Bがいたが、主力は知人だった。
しかし、その知人は橋から川に落ちて亡くなってしまい、社内は沈鬱とした。
ただ死なれただけで悲しいのに、社員たちは幻覚にも悩まされるようになる。
それは、橋から川に落ちていく知人の姿。鮮明な映像が毎日お昼頃に脳裏に浮かぶのだった。
映像の橋にはデジタル時計のようにして深夜の時刻も表示されている。
その幻覚がなんなのかと皆は不思議がっていた。

主人公と知人は特別な関係を持っているわけではなかったが、
仕事を紹介するといった単なる親切な行為を周囲には曲解され、恋人同士のように思われていた。
知人の急逝や幻覚だけではなく、周囲からの「恋人に死なれて可哀相」という的外れな目線も主人公を悩ませた。
雨の日に喫茶店に入った主人公は、帰りに自分の傘がなくなっていることに気づいた。
傘立てに残った傘の数と、店内の客の数を比べると、傘が一本足りていなかった。
きっと傘を持たずに入った者が、主人公の傘を盗んだのだろうと思い、
腹立たしく思いながら主人公は他人の傘を同じように盗んで帰った。

主人公は近くの店に寄り、そこから喫茶店を眺めていた。
すると、まだ店内に傘があるはずなのにも関わらず、傘なしで飛び出て来た女性を見かけた。
色々あってその女性と知り合い、自分が持って行った傘が女性のものだと知った主人公は、
間違えて持って行ってしまったと傘を返した。
自分が嫌な目にあっても、それを更に他の人に転化しようとしない女性と比べて、主人公は自身を恥じた。
女性と親しくなった主人公は、知人が死んだことと幻覚のことを話した。
実は女性の知り合いには超常現象の専門家がいるとのことで、専門家を紹介された結果、
主人公が悩まされていた幻覚は、超能力者によって意図的に送信されているものだとわかった。


838 名前:本当にあった怖い名無し :2009/09/30(水) 20:43:59
超能力者は女の人で、知人とは生前なんの関わりもない人物だった。
唯一の共通点は、彼女の恋人が数か月前に身を投げたのが、知人が死んだのと同じ場所だということ。
彼女の持つ能力は後天的なもので、最近になって目覚めた様子だという。
負の感情に限ったわけではないが、脳から溢れて他者に伝播しそうなほどの、
強い怒りや憎しみを感じた際に発現されやすい能力だという。

元々知人のつてで就職しただけの主人公は、その知人がない今会社を辞めたいと申し出た。
すると、社員Aはいきなり主人公をレイプしようとしてきた。
若い主人公を知人だけが独占するなんてずるい、
知人がいない今、自分が主人公をものにできると思っていたのにと。
社員Bが助けてくれたものの、Bは慰めるふりをしながら執拗に主人公の体をなでまわしてきた。
そんな社員らの態度を見ながら、主人公は自分も傘のように扱われているのだと思った。
持ち主がいない隙に順繰りに利用していくだけ、そんな風に見られていたのだと失望した。

鬱状態になった主人公は、ふらふらと知人が死んだ橋へと向かった。
着いた時には、いつも幻覚に表示されていたのと同じ時刻だった。
今自殺したら、後追いだとして恋人に死なれた者だというレッテルがより確かなものになる、
そう自嘲しながら橋の高い柵を超え、主人公は柵の向こう側に立った。
すると、何者かがいきなりやってきて、主人公を柵の内側に押し込み、
その勢いでバランスを崩してその人自身が勢いのある川の濁流の中に落ちて行ってしまった。

その人物は、超能力の専門家に写真で見せられた、主人公らに幻覚を送ってきていた超能力者だった。
主人公は全てを理解した。
知人が死んだ日、恋人を失った超能力者は、後を追おうとここで自殺しようとしていたのだった。
それをたまたま通りかかった知人が発見し、助けようとした結果、先ほどの超能力者のようにバランスを崩して落下した。


839 名前:本当にあった怖い名無し :2009/09/30(水) 20:45:31
死ぬためにやってきたのに他者を死に追いやってしまった、
そのことは超能力者に罪悪感を与え、罪悪感を背負わせた知人への怒りと憎しみをも生み出した。
元々恋人が死んで、後追いを決意するほど悲しんでいたのに、知人は更に重荷を背負わせたのだ。
その負の感情を誰かに転嫁させよう、そうして自分は楽になって今度こそ死のう、
超能力者はそんな思いから、憎しみで発現した能力によって、
知人の死の瞬間を主人公らに何度も送り、後追いさせようと、
自分がされたように寸前で死ぬ権利を奪ってやろうと考えたのだった。
その証拠に、川へと落ちていきながら超能力者は笑っていた。

幻覚に時刻が刻まれていたのは、知人の死になぞらえて後追いをするなら、
時刻も同じにするだろうと想定してのことで、自殺割り込みのための監視をやりやすくするためだった。
虚脱状態の主人公のもとに女性が駆けつけてきた。
嫌な目にあってもそれを他人に転嫁しない女性ならば、
自分が目の前で負の感情を全て女性に委ねて死んでも、
きっとここで負の連鎖を断ち切ってくれるんだろうなと主人公はぼんやりと思った。

ややこしい話をあらすじ化したら、なんか更にややこしくなってしまったのでわかりにくかったらサーセン


841 名前:本当にあった怖い名無し :2009/09/30(水) 22:21:20
>>839
後味悪…
というか最後主人公。
優しい人に全部擦り付けんな。

852 名前:本当にあった怖い名無し :2009/10/01(木) 03:46:14
>>841
いや擦り付けてない。
というかラスト微妙に違う。
虚脱状態の主人公は
「自分も同じように誰かに擦り付けてやる」
と思いかけるんだが、
駆けつけてきた彼女(の存在)によって思いとどまるとこで〆

853 名前:本当にあった怖い名無し :2009/10/01(木) 08:07:08
改心したというかなすりつけたいという思いは変わらないけど
女性に抱きしめられて、今はとりあえずいいやとしばらく体を預けて終わりだった

858 名前:852 :2009/10/01(木) 19:33:20
>>853
「少なくともこの人は。わたしが好きなこの人は、
 呪われた輪廻を自分のところで止める勇気を持っているんだ。
 もしもほんとうに彼女のことを好きならば、
 受け入れてもらえるかはどうかは別として、
 わたしだって-このわたしだって・・・・・・」

この独白を
「彼女に負の感情を受け入れてもらう」と解釈したのか。
自分は
「自分の好意(同性だけど恋愛感情を伴うそれ)を
 受け入れてもらうかどうかは別として
 好きな人と同じ勇気を持てるようになりたい」
と解釈したんだが。

そこらへんは作者ではないのでどちらとも言えないな。
前段の読み方でも別におかしくはない。


859 名前:本当にあった怖い名無し :2009/10/01(木) 20:02:28
まさかの百合

 

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