千夜一夜物語/アジズとアジザーの話(リチャード・F. バートン)
美少女の従妹と婚約中の美青年、妖艶な美女に一目惚れするが、
美女は窓から彼を見下ろし意味ありげな身振りで謎をかけるだけで引っ込んだ。
青年は馬鹿正直に従妹に話し、謎を解いてもらった。
曰く、人差し指をくわえたのは「あなたが欲しい」、
その指を胸の谷間に埋めたのは ...
死者の手袋(曽野綾子)
主人公は家政婦。結婚を控えた娘がいる家庭に仕事に行く。
その娘は自分の部屋を整理していたが、いっこうに進まずボーッとしている。
何か思い入れのある品なのかと、そっとしておいたが
夕方になって母親が介入すると、紐で ...
セザーレの悪夢(中井英夫)
連作の語り手は、ちょっと変わった精神病院「流薔園」を長期取材している雑誌記者。
患者の逸話は色々聞き出し住みなので、今回は院長自身の過去を洗ってやろうと苦心したが
一向に乗ってこないので、諦めて屠蘇がわりのベルモットを舐めながら雑談中。
...
猿島(福澤徹三)
わたしは妻と小学3年の息子健太と海外旅行に南国のS島にやって来た。
S島は観光地としてはあまり有名ではないが、
物価が安く治安の良い「美と健康の島」と言われ
最近知る人ぞ知る人気の場所だという。
広告代理店に勤めていたわたしが古い友人のつてで
死せる過去(アイザック・アシモフ)
過去の時代と地域に焦点をあてて、
映像と音声を視聴することができるタイムビューワ ・ クロノスコピイ。
政府のみが所有し、民間使用は申請が必要で厳しく管理されている。
古代カルタゴの研究に心血を注ぐ考古学者が、
猿の手(W・W・ジェイコブズ)
アラン・ポーの「猿の手」が一番だな。
とある老夫婦が、呪われた力を持つといわれる干乾びた猿の手を入手する。
この猿の手は、その呪われた力で願い事を3つまで叶えてくれるという。
二人はそれを使わないようにと誓う ...
小説「私小説」(筒井康隆)
作家Aの所に来た新しい女中は、高校を出たばかりの18歳。
国語の教科書であなたの小説を読んで尊敬しているそうです、
と老妻から聞かされてAは気分がいい。
Aは私小説専門の大家。
若手作家のある短編を「この作品には嘘がある」と批評したところ、
小説とは ...
ズッコケ山賊修業中(那須正幹)
ある日、いつもの三人組は近所に住む大学生の堀口に誘われ、ドライブに連れて行ってもらう。
が、山の中で迷ってしまい、そこに現れた山賊に襲われ、拉致されてしまう。
その山賊は「くらみ谷」という所に住む「土ぐも ...
殺人は容易だ(アガサ・クリスティ)
主人公のジェーンマープルが、同じ列車に乗っていたある老女から
「今からロンドン警察に通報にいく。あれは殺人だ」
というよく分かんない話を聞かされる。
その後すぐに、その老女がロンドンで事故死したことを
新聞で知ったマープルは彼女の住 ...
刺繍の家(小池真理子)
菜緒子は40歳の、不倫にかまけて婚期を逃した女。
ある日、小中の親友だったえり子と再会した。
流行遅れの服を着て化粧っ気のない色白の顔は年齢不詳。
乙女刈り(昔流行したショートカット)の頭には、白髪の束がごっそり。
昔の菜緒子は鍵っ子で、面倒見のいいえ ...