ホーム » 小説 » 小説/あ行 » エンディミオンの覚醒(ダン・シモンズ)

154 名前:1 :2010/10/15(金) 11:01:55
ものっそいウロだけど、SF『エンディミオン』に後味悪い部分があったので書いてみる。

シモンズの超大作『ハイペリオン』シリーズは、全4部作。
『ハイペリン』『ハイペリオンの没落』『エンディオン』『エンディミオンの覚醒』。
前2部は異星人の侵略に立ち向かう7人の男女のエピソードを順に綴った群雄伝的なもので、
こちらは後味悪くないので省略。
で、第3部は幼い少女アイネイアーと、それを守る青年ロール・エンディミオンの冒険活劇。
これは少女を狙う存在から二人が逃げまくる話。ホントひたすら逃げまくる。
その過程で少しずつ互いへの信頼を深めていく二人。
アイネイアーは無邪気で快活な少女であり、ロールも兄のように接する。
もっとも、未来を知るアイネイアーは、ロールを「自分の未来の伴侶」だと知っている様子だが。
ともあれ逃避行の果て、第3部の最後で二人は一旦離れ離れになる。
そんで色々あって、第4部の途中で二人は再会するんだが…
この時アイネイアーはなぜか大人なオネーチャンになっていた。
その上ロールに熱烈アピール。もともと兄妹のような関係だったわけだから
ロールも戸惑っていたんだが、なんだかんだで結局はくっつく。
で、やることやった後にアイネイアーから衝撃の告白が。
自分は離れ離れになった間に結婚していた。子供も作った。でも愛してるのは貴方だけよ、と。
なんじゃそりゃああ、と読み手とロールはびっくり仰天するも、ヘタレたロールは
詳しく聞くことも出来ず、とりあえずアイネイアーとの恋人関係を続ける。


155 名前:2 :2010/10/15(金) 11:03:12
そしてクライマックス。
敵に囚われるアイネイアー。
全裸に剥かれて十字架に磔、ロールが敵に押さえつけられる前で、アイネイアーは拷問を受ける。
それは性的なものではないが、指を切り落とされ、瞼の下に刃物を突っ込まれる、という痛々しい内容。
そしてそのまま火あぶりの刑。窒息などはさせてもらえず、生きながら肉を焼かれる極限の苦痛を伴うもの。
それでもアイネイアーは屈せず、ロールへの愛を叫びながら、あえなく焼死する。
絶望に打ちひしがれるロール。
しかしどっこい、そこに現れる救いの手!
それは、拷問死を遂げたアイネイアーよりも少し若い姿の、彼女自身だった。
で、ごちゃごちゃあって敵撃退。
アイネイアーはロールに真実を語る。
私は見た目のとおり、さっき貴方の前で死んだ自分からみて3年前の自分。
少女だった自分は時空の潮流を越え、今ここにいる。
今から3年後、自分は貴方にとっての過去(これが第3部の再会)に戻り、貴方を助ける。
その後の結末は貴方が見たとおり。私は拷問を受け、死んでしまうでしょう。
そんな悲劇的な未来を語りながら、彼女は「でも」と続ける。
でも、今から3年間は私は貴方と一緒。結婚して、子供も作って、ずっと一緒にすごすの。
私は未来を知る力を持っているけれど。この先3年間については見ないようにしていた。
結果は知っていても、間に何があるかは知らない。それを貴方と経験していくのがとても楽しみだ、と。
で、ロールも「この今は永遠さ」と納得。二人で空飛ぶ絨毯的な機械にのって飛び去っていき、エンド。

まあ、ハッピーエンドなんだろうけども。
アイネイアー、この3年後には拷問死かあ、と思うとちょっと後味悪い感じがしなくもない。
とりわけ第3部の彼女が、本当におしゃまで可愛らしい女の子だったんで(水遊びとかしてた)
いきなりオネーチャンになるわロールとやっちゃうわ子供だのなんだので
ロールを悩ますわ拷問受けちゃうわの展開がどうにも受け入れづらいものがあった。
ハードさは前2作の方がずっと高いんだけどね。
けど、ハイペリオンをはじめとして、どれもセンスオブワンダーたっぷりの
目くるめくSF世界を堪能出来るので、お勧めな作品群ではあります。


166 名前:自治スレでローカルルール他を議論中 :2010/10/15(金) 16:26:45
>>155
それって、三年後にアイネイアーが過去に
戻らなかったらどうなるんだろう。

169 名前:自治スレでローカルルール他を議論中 :2010/10/15(金) 19:41:51
>>166
いわゆるタイムパラドックスの問題にぶち当たっちゃいますね。
まあ作中では、アイネイアーが過去に遡及して存在したことは「確定された過去の出来事」なので、
個人の意思で変えられるものではない、という解釈で描写されてます。本人も戻る気まんまんだし。

 

エンディミオンの覚醒〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)
エンディミオンの覚醒〈上〉
(ハヤカワ文庫SF)
エンディミオンの覚醒〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)
エンディミオンの覚醒〈下〉
(ハヤカワ文庫SF)


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