ホーム » 小説 » 小説/は行 » プリンのおじちゃん(平山夢明)

762 名前:プリンのおじちゃん 1/2 :2012/04/23(月) 21:06:37.79
結城は契約家主の物件にいる滞納者から家賃を回収する仕事をしていた。
一ヶ月も続けると人間不信に陥るほど精神的にキツイ仕事だった
バレバレのその場しのぎの嘘を並べるのは良い方、逆切れして暴言・罵声を
あびせられることもたびたびだった。ノイローゼになり辞めたり自殺した社員もいる。
あるワンルームマンションに一年近く滞納している女からの回収を命じられ
部屋に行くと、サラ金の取り立ての督促状がぎっしり郵便受けにたまり
ドアは蹴られたのかあちこち凹んでいた。
これは家賃どころではないだろうと、あきらめ半分で呼びかけたが返事はない。
その後何度も足を運んだが、女との接触はかなわなかった。
ある晩、ようやく部屋の電気が点いていたので呼び鈴を押すとドアが開き
中から3・4歳くらいの男の子が顔を出した。
ママは?と聞くと「開けちゃいけないのに、ママに怒られる」と泣き出した。
なだめながら部屋に入れてもらうと、中はゴミの山で、隅には赤ん坊と猫が一緒に
タオルケットに包まれ寝ていた。
男の子はけんちゃんといい、母親は仕事だという
2人とも風呂に入っている様子もなく、痩せこけて酷い有様だった。
帰ろうとする結城の裾を掴み、「おじちゃん、また来てね」と言った。

764 名前:プリンのおじちゃん 2/2 :2012/04/23(月) 21:09:48.01
翌日コンビニでプリンを買って行くと、けんちゃんは生まれて初めて食べたと
目を輝かせて喜んだ。
さらに翌日も。家賃回収もだが、子供たちが気になったからだ。
母親が置いていったという消費期限をとっくに過ぎた異臭のするコンビニ弁当を
食べようとするのを止め、新しい弁当とプリンを買い与えた。
プリンをおいしいおいしいと食べるけんちゃんに「お母さんに連絡するように言ってね」
と告げてメモを残し帰った。
その翌日会社に母親から「住居侵入で訴える」とクレームが入り、結城は上司に叱られ
担当から外された。
それでも子供たちが気になり、何度か訪ねそっとドアにプリンや食料の入った袋をかけておいた。
半年ほど過ぎた頃、偶然あのマンションの前を通ったので気になり、部屋の呼び鈴を押していると
隣の住民が顔を出し、その部屋には今誰もいないと教えてくれた。
引っ越したのかと聞くと、母親が捕まったからだ、子供を死なせたんだと言う。
驚いて赤ちゃんが?と言うと。
「上のお兄ちゃんが死んだんだ、なんだかプリンのおじちゃんを待つんだ、待つんだと言って
ベランダによじ登って外を見ているうちに落ちちゃった。母親はそれから色々調べられて逮捕された」
結城は一晩中溢れる涙を抑えることができなかった。
翌日会社に辞表を出した。

765 名前:本当にあった怖い名無し :2012/04/23(月) 21:31:58.09
これはくるなぁ…

769 名前:本当にあった怖い名無し :2012/04/24(火) 01:36:58.99
>>762
平山夢明の東京伝説だね。
この話は切なすぎで読んだ時泣ぐんだ。

770 名前:本当にあった怖い名無し :2012/04/24(火) 03:17:46.96
こういう事件父親はどこだよって毎回疑問に思う
やるだけやっといて頭イカれてる女におしつけて逃げるって
マジで楽な生き物だよなあ

771 名前:本当にあった怖い名無し :2012/04/24(火) 03:36:40.76
既に殺されてるんじゃね
なんせイカれてるんだし

772 名前:本当にあった怖い名無し :2012/04/24(火) 06:06:43.43
実の父親の方?
それとも戸籍上の方?

773 名前:本当にあった怖い名無し :2012/04/24(火) 10:42:44.35
避妊しない槍逃げ男も女も両方同じカス
犠牲になる子供がただただ可哀想で後味悪い

 

東京伝説―狂える街の怖い話 (竹書房文庫)
東京伝説―狂える街の怖い話 (竹書房文庫)


後味悪い
(後味悪ければクリック)
読み込み中 ... 読み込み中 ...