英雄の書(宮部みゆき)

943本当にあった怖い名無し:2013/02/18(月) 18:30:59.15
宮部みゆき『英雄の書』

主人公・友里子(小学5年)の兄大樹(中学2年)は、学校で同級生を刺して失踪する。
失意に暮れる友里子だったが、兄の部屋にあった意思を持った魔術書「アジュ」から
大樹が死んだ大叔父の家から自身ともう一冊の本を持ち出し、
それが争いを生む存在「英雄」の力の宿った禁書で、
彼の豹変はそれに魅了され封印をといてしまったためだと聞かされる。

大叔父の家にあった他の魔術書の助言を受け、
英雄の召喚者の近親者には追跡する資質があるということで
「物語」を司り「英雄」が封印されていた「無名の地」という時空に赴き、
そこの番人「無名僧」(全員が同じ容姿をして個を持たない僧侶の集団)より力を授かるが、
そこに異変が起こる。
その元凶として他よりも若い容姿の一人の無名僧が見つけ出され、
従者として友里子に同行することとなる。

「ユーリ」という新しい名を得た友里子は、「無名の地」に空という語彙がなく、
青空を見たこともなかったことから「ソラ」と名づけた無名僧と、
鼠に化身したアジュ、「英雄」の使い魔から助けてくれた狩人ディミトリ(通称アッシュ)とともに
兄を追跡するため旅立つ。
兄と同じ中学の女生徒から「彼女へのいじめをやめさせるため尽力したが、
反感を買いいじめの標的になり、被害者はいじめの主犯格たち」ということ、
兄が「英雄」にはっきり魅了されていた形跡を聞き出した後、
英雄を追ってアッシュの出身であり、その英雄の書の出所でもある
時空(異世界の国の歴史書形式の物語の中)に向かう。


944本当にあった怖い名無し:2013/02/18(月) 18:31:29.98
その世界で、貧しく内乱の耐えない国「ヘイトランド」の歴史と、
その中で数奇な運命をたどり英雄の書の物語となったアッシュの親友、
死んだと思われていた大叔父が実はこっちに来ていて
魔術で異形と成り果てていたことなどを知る一方、
ユーリはその中で次第に人間味を持ち始めたソラに親近感を持ち始めていたが、
「英雄」が壊滅させたヘイトランドの首都で、「英雄」と対峙した瞬間に異変が起こる。
ソラが兄大樹に姿を変え、「英雄」に取り込まれてしまったのだ…。

力を失った友里子は「無名の地」に引き戻され、
無名僧の(便宜上の)代表から彼らが「英雄」を召喚し一体化した者達の成れの果てであること、
ソラは大樹から生じた無名僧だが本人の自我と「英雄」の影響が残った「なりそこない」なので
友里子の役割は「英雄」の封印からソラを一旦「英雄」と引き合わせて残滓を落とすことに
切り替わっていたのだった。
(大樹の成れの果てが既にいた理由については
 「無名の地」は時間の流れから隔絶された場所だから、だそうな)

やりきれないながらも、「使命を果たした者は無名の地に一つ命名できる」慣わしで
天上を「空」と名づけ日常に帰還する。
その後はそれとなく件の女生徒や大樹の元担任教師を両親と引き合わせて
事件の背景を教えたりしていたところ
アッシュ同様に「英雄」と戦っていた老黒人より資格を譲り受け、
再び「英雄」との戦いの中へ身を投じる決意をした…。

主人公はイレギュラーな形で終了させられたけど
正規の行程でも結局助けられない、かつ周囲もそれ分かってて送り出したっぽい、
「英雄」が解き放たれる事態は無数に起こっていて封印より外に出ている時のが長い、
とか読了後はモヤモヤムカムカ…。

主人公が子供なのに「新聞連載」→「一般書籍」という出所から
ジュブナイルになりきれない硬さと不自然さ、世界観設定はおろか
人物設定にまで矛盾が生じてしまっている粗さとか、
作品自体の出来もあまり良くは感じないのではあるけれど。


945 本当にあった怖い名無し:2013/02/18(月) 18:49:41.71
まとめ上手いね乙でした

946 本当にあった怖い名無し:2013/02/18(月) 19:20:52.61
英雄の書 書店に並んでたんで久々に宮部みゆき読もうかなと
思ったがこれ読んだら買う気失せた
宮部のファンタミステは正直、ウンザリーネ

947 本当にあった怖い名無し:2013/02/18(月) 19:34:05.41
>>945-946
どもです。

「領域(リージョン)」「印を戴く者(オルキャスト)」「狼」等作中用語をいくつか割愛したり
時系列を少し簡略化したりしたけど、それでもちょっと冗長になってしまったかも。


948 本当にあった怖い名無し:2013/02/18(月) 21:11:34.41
>>943-944
「はてしない物語」の劣化版か。

宮部はもう時代物短編だけ書いた方がいい。

 

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