ニンジャスレイヤー/コロス・オブリヴィオン(ブラッドレー・ボンド、フィリップ・ニンジャ・モーゼズ)

204コロス・オブリヴィオン(1/3):2013/11/24(日) 21:22:24.34
twitterで連載中の小説「ニンジャスレイヤー」より、「コロス・オブリヴィオン」。
前回の反省を踏まえ専門用語少な目に行きます。

近未来都市ネオサイタマでは、
ニンジャ(人智を超えた身体能力、超能力を持つ超人。忍者というよりアメコミの超人に近い)
による連続寺院襲撃事件が多発していた。

犯人の名はアーマゲドン。
デスメタルバンド(作中のデスメタルは反仏教行為を行う)のギタリストで、
熱心な反仏教主義者であった彼はニンジャになったことで暴走し、
商業主義に傾きだしたバンドメンバーを殺害。
さらに自らの信奉者を引き連れてネオサイタマ中の寺院に放火し、
参拝客や僧侶、巫女を殺害し始めたのだ。

一方、ネオサイタマのとある零細寺院は風前の灯といえる状況にあった。
僧侶のほとんどはネオサイタマ仏教界のトップ、タダオ大僧正のいる
総本山の警備に割かれてしまい、寺院には住職と二人の弟子のみしかいない。
住職は、寺院で引き取っている孤児のみは
何とか近隣の寺院に預けることができたことを良しとしながらも、
タダオ大僧正の方針に不満を禁じ得なかった。

「本来は、あの子らが総本山の厚い壁に守られてしかるべきなのだが」
そう言って、住職はふと口をつぐむ。
(口は災いの元じゃな)
彼はかつてタダオ大僧正の拝金主義を批判した。
そのために零細寺院へと左遷されてしまったのだ。

その時、寺院の監視カメラが門前にいる傷ついた巫女を映した。
住職は、きっとアーマゲドンの襲撃から命からがら逃げ出してきた
どこかの寺院の巫女だろうと、弟子のひとりに命じて門を開けさせた。


205コロス・オブリヴィオン(2/3):2013/11/24(日) 21:27:09.55
しかし、巫女の正体はアーマゲドンの信奉者だった。
僧侶たちを油断させようとするアーマゲドンの罠だったのだ。

アーマゲドンは門から侵入すると、門を開けた弟子の命を奪った。
もう一人の弟子も、アーマゲドンから住職を守ろうとするも殺されてしまい、
住職も自衛用の拳銃を取り出す前に手裏剣によって手を切断された。

そのまま、アーマゲドンは住職にとどめを刺そうとする。
だが、アーマゲドンの攻撃をどこからともなく飛んできたクナイが妨害した。

現れたのは、黒い装束をまとい刀を持ったニンジャだった。
アーマゲドンは、自分の使命たる反仏教行為を邪魔する黒いニンジャを殺そうとする。
しかし、黒いニンジャの洗練された剣術を前に
ニンジャになりたてで狂犬同然のアーマゲドンは一歩、また一歩と追い詰められていく。
そしてついに、黒いニンジャの放った刀の一撃がアーマゲドンの首をはねた。

「あ、あなたは一体」

凶悪な反仏教主義者アーマゲドンは死んだ。
これで、罪無き聖職者や参拝客が殺されることもない。
住職は黒いニンジャに感謝した。


206 コロス・オブリヴィオン(3/3):2013/11/24(日) 21:29:39.60
次の瞬間、住職は黒いニンジャの放ったクナイを額に受け、命を落とした。

黒いニンジャの名はダークニンジャ。
ネオサイタマをニンジャの力によって裏から支配するギャングのNO.2である。
ギャングのボスは、タダオ大僧正の依頼を受けダークニンジャをアーマゲドン討伐に派遣した。
零細寺院の警備を手薄にし、アーマゲドンをおびき寄せる作戦はタダオ大僧正の提案だった。
ダークニンジャは作戦通りにやってきたアーマゲドンを殺すと、
「目撃者は生かすな」というギャングの掟に従い住職を始末したのだ。

『タダオ大僧正が零細寺院を囮に使ったのは、
 目の上のたんこぶだった住職を後腐れなく始末するためだろう』
と思いながら、ダークニンジャはボスへ結果を報告するために寺院を後にした。

ニンジャスレイヤーは「妻子を殺された男の復讐劇」であり、
必ずしも純粋な勧善懲悪ものではない。
非ニンジャの一般市民がニンジャに虫ケラのように殺される描写も多い。
しかし、この話は悪事を働いていたアーマゲドンは倒されたものの、
その後のギャングと仏教界との癒着を暗示する明確な「悪が勝つ話」である。

また、作中の善人の多くが小さな幸せを見つけ
過酷な人生を力いっぱい生きる決意をして終わるのに対し、
住職はあまりにもかわいそうだった。


207 本当にあった怖い名無し:2013/11/24(日) 21:38:36.34
なにか見覚えあると思ったらイッキ・ウチコワシの話だった。

 

ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上4
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