かげろう日記(吉村達也)

368 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/09/19(水) 21:13:53
吉村達也の「かげろう日記」

主人公の輝樹は26歳のサラリーマン。
大学生の頃から茜という女性と付き合っていたが二年前に破局。
原因は恋愛より仕事が面白くなってしまってしまい、茜の束縛が煩わしくなってしまったから。
半ば緊急避難的に同じ会社の仁美という新しい女を作り、それを口実に茜と別れたのだった。
茜と別れ、順調に仕事をこなしていた輝樹のもとに茜が死亡したという悲報が届く。
6月17日、茜がATMで金をおろした後、フルフェイスの男に強盗に遭い刺し殺されてしまったという。
茜が死んだと聞き、悲しむ前にホッとしてしまった鬼畜輝樹。
そんな輝樹のもとにかげろう日記と題された一冊の大学ノートが届けられる。
かげろう日記は茜が輝樹と別れた日から付け始めた云わば失恋日記のようなものだった。
日記の内容は茜の執念と情念と怨念に溢れており、輝樹は自分が怨まれていたことを実感し驚愕する。
気休め程度にしかならないと思いながらも輝樹は茜の墓参りに行くことにした。
しかし茜の墓の前で輝樹はハッキリと茜の声を聞いてしまう。
すっかり怯えてしまった輝樹はかねてより茜のことを相談していた親友の吉彦に一連の出来事を打ち明ける。
吉彦は日記の存在は信じたものの茜の声などは怯えた輝樹が聞いた幻聴にすぎないとはねつける。
錯乱した輝樹は全部吉彦のやったことじゃないのかと邪推するが軽く流され、
逆に日記を全部一気に読まない不自然さを指摘され、
日記をすべて読み終えるまではもう会わないと言われてしまう。
吉彦に言われた通りにかげろう日記を読み進める輝樹。
ただの恨み言日記と思われたかげろう日記だが、後半になるにつれ内容に異常さが増してくる。
6月15日の日記、茜が殺害される前日のものだ。だが日記にはまだ続きがあった。


369 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/09/19(水) 21:15:10
6月16日「私は殺されました。血がいっぱい出ました。それでも、輝樹の人生から去るわけにはいきません」
茜が死んだ日から血文字で続くかげろう日記、
しかもその内容は輝樹の生活を詳細を記しており輝樹は茜にとり憑かれていると考え始める。
一方、輝樹から相談を受けた吉彦は
茜が何者かに狙われて殺されたのではないかと疑惑を持ち独自に調査をし始めていた。
やがて輝樹はかげろう日記と同じ大学ノートが自分の本棚にあることに気づく。
かげろう日記が増えたのかと思ったがそれは輝樹独自の経営戦略のような内容が書かれていた。
輝樹は思い出す。そういえばそんなものを書いたっけ。
そしてノート一冊では足りないかと思ってもう一冊同じものを買って放置していた…
そこで輝樹は真相に気づく。同時に聞こえてくる茜の声。
茜との会話をテープレコーダーに録音する輝樹。聞きなおしてみると録音されていたのは輝樹の声と輝樹の裏声。
全部輝樹が一人でやっていたことだった。だが輝樹が二重人格だったわけではない。
茜はたしかに輝樹にとり憑いており、眠っている輝樹の体を操って
自作自演のかげろう日記をしたためていたのだった。
そして茜の口から(正確には輝樹の口だが)茜を殺して犯人の名が告げられる…
一方、吉彦は輝樹の現恋人の仁美を自宅に呼び出していた。
そこでコナンこと吉彦は仁美が前々から茜と輝樹を獲り合っていたこと、
仁美が弟に茜を脅すよう指示をし、誤って殺害してしまったことを暴く。
真相を暴かれた仁美は輝樹のもとへ逃げ帰る。それを優しく迎える輝樹。そして慰め合い抱き合う二人…
快楽の絶頂のとき、輝樹の口から発せられたのは茜の呪いの声だった。
錯乱した仁美は、輝樹と茜の思い出のギターの六本の弦で輝樹を六回絞め殺す、
云わば六重殺ともいえる異常な方法で。
だがそれは輝樹を殺すためではなく、輝樹の口から発せられる茜の声を封じるためだったとは誰が知りえようか。
仁美は輝樹の部屋からかげろう日記を持ち出し逃亡、後に睡眠薬を飲んで自殺した。
そして輝樹と仁美の直属の上司に届けられるかげろう日記。好奇心に負け、かげろう日記を開く上司。
そこには新しく「今度はあなたの体を貸してね」と書かれていた…

372 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/09/20(木) 02:42:13
>>368
輝樹は死んでしまったのに、どうしてまだ体がいるの?
吉村達也の本って、読みやすいんだけど突っ込み所が多いよね。

 

かげろう日記 (角川ホラー文庫)
かげろう日記 (角川ホラー文庫)