私の男(桜庭一樹)

663 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/07/19(土) 00:46:30
私の男っていう小説
現代からはじまって一話ごとに過去へと戻っていくという形式になっているが
時系列順にあらすじを書いてみる

北海道で育った少年は、漁師の父を海で亡くした。
それから母は、父の分の役目も自分が果たせねばと
厳しく少年をしつけるようになり、父がなくなる以前と態度を一変させた。
母性をなくしたような母に、父だけではなく母をも失ったように少年は感じるのだった。
やがて母は体を壊し入院することになった。
少年は介護をするものの、ますます母の性格は尖っていき、少年の心は擦り減っていく。
やがて母が死に、少年は親戚の家に預けられた。
少年は、そこの一家の母親の持つ母性に惹かれて関係を持ってしまう。
彼女は少年の子を孕んでしまい、少年はその家にはいられなくなった。

数年後、少年は立派な青年となり、海上保安官として働いていた。
大規模な震災が起き、かつて自分を引き取っていた一家も巻き込まれたと聞き駆けつけると、
自分の娘・花だけは生き残っていた。
その時青年はまだ25歳だったが、冷静かつ必死に親権がほしいと訴えたことと、
花本人は知らなかったものの、親戚の間では青年こそが実の父親だと知られていたために、
青年は花の父親として一緒に暮らすようになった。

だが、幼いころに父も母も失ったようなものであった青年にはまともな家族像というものがわからなかった。
母性への渇望感から女性経験は人一倍あったものの、結婚に至りそうな相手もいなかった。
青年はgdgdな思考を抱え「おかあさん、おかあさん」とつぶやきながら、まだ9歳の花を抱いた。
今まで家族の中でなんとなく浮いていた存在だった花は、
はじめて自分と同じような人と出会えたような気がし、
そしてなによりも泣きじゃくる青年の姿に母性を感じてそれを受け入れてしまう。


664 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/07/19(土) 00:48:22
高校生になった花は相変わらず青年と関係を重ねていた。
が、それを町の有力者で、震災孤児の花を昔から気にかけてくれていたおじいさんに目撃されてしまう。
「家族ってのはあんなことをしなくても繋がっていられるものなんだ 
 あんたもあいつもそれがわかってないだけだ」
「他の親戚の家に早く移りなさい あんたたちは実の親子なんだ」
おじいさんはそう言うが、花はいつの頃からか血縁関係を自然と察するようになっており、
それがどうしたのだと答え、口封じにおじいさんを殺してしまう。
おじいさんは抵抗もせずに、ただ花を哀れみながら見つめ続けていた。

一年後。父子は北海道を出て東京で暮らしていた。事件を忘れるためだった。
が、北海道時代の父の知人が訪ねてくる。
元刑事であった彼は、問題を起こして刑事をやめた後、おじいさんの世話になって立ち直った。
彼は、恩人であるおじいさんを殺したのは花ではないかと、かつて刑事であったカンで見抜いていたのだった。
父は口封じのために元刑事を殺した。
自分のせいで人殺しにさせてしまったと泣く花に、これでおそろいだと父は笑った。

そして更に数年後。花は同僚の男と結婚することになった。
高校生の頃まではただひたすらに父を愛していたが、
いつからかこのままでは二人とも腐り落ちてしまうんじゃないかという
言いようのない恐怖を感じるようになってしまっていたのだった。
そんな状況から逃れるためだけに、花は内心では父>>>>結婚相手なものの、結婚することにした。
結婚後、父は花に何も言わずに行方をくらましてしまった。
だが、消えられてしまったからこそ花は、更に強く父への未練を感じるのだった。

血はつながっているという描写ははじめからあったものの、てっきり
「遠縁同士の義理の父子が、はじめは真面目に親子やっていたものの泥沼恋愛関係になってしまった」
という話かと思いきや、スーパーマザコン男がロリをヤっちゃうとか、もうね。
日出処の天子を思い出したが、実子をヤっちゃうという点でこっちの方が悪質だ。

 

私の男 (文春文庫)
私の男 (文春文庫)