ポカリ
ある夏の日、私が霊感のあるBとある会合に行った。炎天下を汗をかきかき、会場についた。
会合はもうすでに始まっており、参加している人々は立食形式で
それぞれ机の上にある飲み物や食べ物を口にしながらでマターリと語り合っている。
二人はみんなに遅れてきた詫 ...
しちゃいけません
俺が保育園の頃に、保母さんが妊娠したのね。
で、別の保母さんが
「××さんは赤ちゃんがお腹にいるから、お腹を蹴ったりぶったりしないでね」って話をして。
でも子供って「しちゃいけません」って言われるとしたくなるから、
休み時間(? ...
おみやげ(星新一)
人類が誕生して間もない頃、宇宙人が地球にやって来た。
彼らは人類に様々な科学技術をもたらすためにやって来た。
簡単かつ安全に宇宙に行く方法、どんな病気もたちどころに治してしまう薬の作り方など。
しかし、人類があまりに未熟だったため、
頑丈な金属でできた ...
赤いまんま
小作人の夫婦が地主の家に米俵を納めに行きました。その年は凶作でした。
強欲な地主は、貧しい夫婦が米をネコババしてないかチェックしようと、
傍らで無邪気に遊ぶ夫婦の幼い一人娘に聞きました。
「おまえ今日何食った?」
娘は笑顔で「白いマンマ食 ...
猿の手(W・W・ジェイコブズ)
老人は「たくさんのお金が欲しい」と猿の手に一番目の願いをかけた。
するとさっそく連絡があり、息子さんが職場で機械に巻き込まれて死んだので、
多額の保険金を払うと告げられた。
老人は悲しみ、「息子を生き返らせて欲しい」と猿の手 ...
マイダス王の手
幼い頃、母から聞いた話。
ある所に、とても強欲な男がいた。
金目のものが大好きで、中でも真珠の輝きに目がなかった。
「ああ、オレの触るものすべてが真珠にならないかなあ」
すると、観音様が現れて、
「あなたの望みをかなえてあげましょう ...
ジレンマ
それは彼の一動作によって願い事がかなう、というものだった。
たとえばポケットから手を出すとその手には宝石がにぎられているだろう、
指を鳴らすと絶世の美女が部屋のドアを開け現れる、というように。
願うだけではかなわないので、これは衝動的な願望を制御することができた。
そし ...
魔法の窓(ロバート・F・ヤング)
ある男が、ノミの市で絵を買った。
緑の草原と湖を描いた、とても綺麗な絵だった。
売り手はエイプリルと名乗る少女。彼女が自分で描いたという。
彼女は、男が絵を選んだことをとても喜び
自分のアパートに男を誘う。
アパートの窓か ...
2人の末期ガンの患者
2人とも寝たきりの状態だったが、窓際のベッドの男はドア側のベッドの男に窓の外の様子を話してあげていた。
「今日は雲一つない青空だ。」「桜の花がさいたよ。」「ツバメが巣を作ったんだ。」
そんな会話の ...
来訪者(阿刀田高)
最初は気さくで、よく気がつく女性という印象だったのだが、
自分の素性をあまり話したがらない、必要以上に幸恵に馴れ馴れしいというところが
そういう印象を抱かせたのだと思う。
初江は、真樹子が退院した後も、自分 ...