ホーム » 小説 » 小説/か行 » 帰ってきたソフィ・メイスン(E・M・デラフィールド)

761もどってきたソフィ・メイソン:2014/01/18(土) 00:43:16.20
1880年代の南フランス。

とあるワイン商人の夫婦が片田舎の古い屋敷を別荘として買い取った。
夫婦は子供が3人おり、乳母としてイギリス人の若い娘を雇っていた。
その乳母の名前はソフィ・メイソンといった。

ソフィは私生児で幼い頃に母も死んでいた。
母の死後は、宿屋を経営している意地悪な叔母の元に引き取られ
奴隷のようにこき使われて育った。

成人したソフィは叔母の元を逃げ出し、
ワイン商人の夫婦にメイドとして雇い入れられた。
ワイン商夫婦も叔母に負けない程人使いが荒く冷淡で、
ソフィを薄給でこき使ったが、ソフィは愚痴もこぼさず健気に働いていた。


762もどってきたソフィ・メイソン:2014/01/18(土) 00:46:08.01
彼女にとっては給料がもらえるだけ、叔母の元にいるより幸せだったのだ。

幸いなことに夫婦の子供達は親に似ない素直で優しい子たちで
ソフィを実の姉のように慕っていた。
ワイン商人夫妻は商売が忙しくなる夏の間だけソフィと子供達を別荘で過ごさせていた。

ソフィと子供達が別荘で夏を過ごすようになってから3年目の夏に、
アルシドという男が徴兵期間を終え、村に帰郷してきた。


763 もどってきたソフィ・メイソン:2014/01/18(土) 00:48:56.97
アルシドはハンサムでユーモアもあったが、
強欲で乱暴、裏で密売にも手を染めているという噂まであった。
しかし純朴なソフィは外面の良いアルシドに騙され、のめり込んでいく。

夏が終わり、子供達とソフィを迎えに来たワイン商人の妻は
アルシドとソフィの逢引きを目撃してしまう。
潔癖なワイン商人の妻は激怒し、ソフィとアルシドを無理やり別れさせた。
別れる間際、ソフィは泣いてアルシドにすがったが、足蹴にされてしまった。
アルシドは内心ソフィに飽きが来ていたのである。


764 もどってきたソフィ・メイソン:2014/01/18(土) 00:53:42.15
ソフィと子供達はワイン商人の本宅に帰り、日常生活に復帰した。
が、1か月もしないうちにソフィは体の不調に見舞われる。
彼女はアルシドの子供を妊娠していたのである。

ソフィは散々悩んだ挙句にアルシドに手紙で妊娠を知らせた。
そして、アルシドに別荘で話し合う約束を取り付けた。
約束の日、ソフィは夫妻にウソをついて休みをもらうと
アルシドと会うために別荘に向かった。

それきりソフィは行方不明になった。
時を同じくしてアルシドは村から姿を消した。


765 もどってきたソフィ・メイソン:2014/01/18(土) 00:56:12.90
ワイン商人夫妻はソフィを探しもしなかった。叔母に至っては
「やっぱり私生児だ。母親と同じ淫乱の男好きだったんだ。男と駆け落ちしたんだ」
とソフィを中傷した。
ワイン商の子供達だけがソフィを恋しがって泣いた。

25年後、ワイン商人の妻が病死した。
妻が一番目をかけていた末息子が別荘を相続した。

それから数年後、
別荘の裏手にある雑木林の奥から白骨死体が発見された。
死体の身元を確かめる術はなかったが、
村人全員が白骨死体はソフィ・メイスンであること、
ソフィはアルシドに殺されたのだと確信した。


766 もどってきたソフィ・メイソン:2014/01/18(土) 00:58:15.08
しかし立証方法がない上に、アルシドも行方不明であり結局事件は葬り去られた。
末息子はソフィの骨を墓地に埋葬した。

更に10年がたった。
末息子は故郷で父の会社を継ぎ、地元の女性と結婚した。
上の姉妹は都会に出て、それぞれ法律や学問で身を立てた。
父親は引退したが相変わらず冷淡で偏屈で人を寄せ付けなかった。

ワイン商の館にアル・ラモットと名乗る大金持ちのアメリカ人が訪れた。
アル・ラモットはこのあたり一帯の土地を買収しに来たのだった。


767 もどってきたソフィ・メイソン:2014/01/18(土) 01:01:48.96
ワイン商も末息子もラモットの英語にかすかにフランス訛りがあること、
このあたりの土地のことをよく知っていることに違和感を覚えた。
ラモットは愛想が良かったが、
ワイン商も末息子も末息子の妻もどうにもラモットが好きになれなかった。

それでも土地の売買は成立し、末息子は晩餐にラモットを招待した。


770 もどってきたソフィ・メイソン:2014/01/18(土) 01:06:13.71
ラモット、ワイン商、末息子、末息子の妻と4人で食事会が行われた。
ラモット一人がやたらと陽気だったが場は和まず、
息子の妻は最初から体調不良を訴えており、ワイン商はいつもに増して不機嫌だった。
末息子もラモットと喋っていると原因不明の苛立ちに襲われた。

突然、末息子は悟った。
ラモットの正体はーソフィ殺しのアルシドだと。
その瞬間、末息子はアルシドの後ろに若い女性が立っていることに気付いた。
クラシカルなメイド服を纏い、ナイトキャップを被った20歳前後の女性―
何故か末息子は理解した。


771 もどってきたソフィ・メイソン:2014/01/18(土) 01:08:45.19
彼女はソフィだ。
ソフィはアルシドを見つめて泣いていた。憤怒も憎悪もなかった。
ただアルシドに殺され、打ち捨てられたことを悲しんでいた。

やがて妻もソフィの幽霊に気付いた。
末息子の妻はソフィを知らなかった。
それでもソフィの悲しみを感知し、泣き出した。

ワイン商には幽霊の影がぼんやりと見えただけで
この幽霊がソフィだということも気付かなかった。
しかしラモットが殺人犯だと悟り、深い嫌悪を抱いた。


773 もどってきたソフィ・メイソン:2014/01/18(土) 01:11:15.87
末息子が恐ろしかったのは
かわいそうなソフィ・メイソンの幽霊ではなかった。
彼が恐れたのは何も聞こえない耳、何も見えない目、騒々しい声だった。

ソフィに無関心だったワイン商でさえソフィの幽霊を感知していたというのに
アルシドは延々としゃべり続けていた。
自分の成功談やアメリカでの生活を。


774 本当にあった怖い名無し:2014/01/18(土) 02:22:03.24
確かに後味悪いが
幽霊や怨念にも打ち勝つ強靭なアルシドのパワーに憧れるな
こうありたいよ

776 本当にあった怖い名無し:2014/01/18(土) 08:57:05.63
幼いころに慕っていたメイドをが行方不明になった
彼女を殺したであろう男と知り合ったところ、
自分と周囲の人は男にメイドが取り付いていることを確信したが、
男は全くそれに気がついていないことが幽霊よりも恐ろしい

要するにこういうこと?


778 本当にあった怖い名無し:2014/01/18(土) 11:28:48.66
>>776
それで終わり

779 本当にあった怖い名無し:2014/01/18(土) 11:35:59.30
>>776
山岸凉子の短編思い出した。

幽霊屋敷に住むポヤ~ンとした高齢独女、ぜんっっっぜん幽霊に気がつかない。
中年の家政婦、幽霊が怖いんじゃなくて
幽霊の群れにとりつかれても全然気づかない独女が怖いから、と退職するの。

 

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